哲学の教科書 (中島義道) は入門書になるのか?

哲学の教科書の表紙 哲学

「哲学の教科書」は中島義道の著書である。今回の記事では、「哲学の教科書」が「哲学の入門書」として使えるのかどうか、という視点で解説する。

また、併せて本書の世間一般、及び私個人の評価も掲載する。興味関心があれば、こちらも一緒に読んで頂けると理解が深まるだろう。

この記事に書かれていること

この記事に書かれていることを端的にまとめると、下記の通りとなる。

①「哲学の教科書」は入門書になるのか?
→通常の意味の入門書にはならない。ただ、人によっては大きな意味を持つ一冊になる。

②「哲学の教科書」の世間一般の評価は?
→Amazon☆4.1、楽天ブックス☆4、honto☆4。詳細は本文参照。

③「哲学の教科書」管理人 (Rausi) 評価は?
→哲学の本質に触れ、その世界に誘う一冊であり高評価。詳細は本文参照。

【結論】 入門書になるかどうかは使う人次第

「哲学の教科書」という題名に惹かれて興味を持つ人々の中には、この本が「哲学の入門書」になるのではないか、という期待を抱く人もいるはずだ。

結論からいうと、通常の意味の入門書にはならない。通常の意味とは、客観的な視点で哲学史を解説しているような当たり障りない書籍のことである。

そのため、広く浅く哲学を知りたいような人には向かない。逆にいえば、哲学を深く知りたい人にとっては、大きなきっかけになる一冊である。そのような人々にとっては「入門書」となり得るだろう。

【要点まとめ】

一般教養として、広く浅く哲学知識を知りたい人の「入門書」にはならない。

哲学の本質を知りたい人がそのきっかけを得る、それに限定すれば「入門書」ともいえる。

基本情報

「哲学の教科書」、及び著者の「中島義道」に関する基本情報を紹介する。すでに知っている人は、ここは読み飛ばしても構わない。

哲学の教科書とは

「哲学の教科書」は哲学者・中島義道の著書である。文庫版は2016年時点で第41刷まで発行されるなど長い間売れ続けている。

【哲学の教科書】
出版社:講談社
発売日:2001年
文庫:384ページ

哲学は何の役にたつのか。哲学の問いとはどんなものか。哲学者とはどのような人々か。そもそも、哲学とは何か。物事を徹底的に疑うことが出発点だという著者は、「哲学とは何でないか」を厳密に規定することで哲学を覆うベールをはぎとり、その本質を明らかにする。平易なことばで哲学そのものを根源的に問いなおす、究極の「哲学・非‐入門書」。

引用元:哲学の教科書・講談社学術文庫 紹介文より

中島義道とは

中島義道イメージ画像。
引用元:https://moc.style/world/interview-philosopher-nakajimayoshimichi-01/

中島義道は日本の哲学者 (研究者) である。著書も多く、哲学の世界では有名人といえる。

【中島義道】
1946年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。ウィーン大学基礎総合学部修了。哲学博士。専攻は時間論、自我論、コミュニケーション論。哲学塾カント主催。

引用元:哲学の教科書・講談社学術文庫 紹介文より

みんなの声

ここでは、世間一般の「哲学の教科書」に対する評価を、私自身の言葉に直して紹介する。

また、「哲学の入門書」としての評価、という視点でも同じく私自身の言葉で紹介したい。

【主要サイトの星評価】
アマゾン→4.1
楽天ブックス→4.0
honto→4.0
※2023年6月末日現在の星評価

肯定的意見

誰も書かない哲学の本質について触れている、机上の学問ではなく、本物の哲学について教えてくれる本というニュアンスのものが目立った。

否定的意見

難しくて読破できない、著者の価値観 (哲学的問題意識) に共感できない、本と相性悪く面白く感じないというニュアンスのものが多かった。

哲学入門書としての意見

これは人によって、真っ二つに分かれた。分かりやすく入門書として最適という人もいれば、内容が難しいので基礎知識がないと最後まで読めないという人もいる状況だった。

個人的意見

哲学の教科書 目次

ここでは、「哲学の教科書」に対する個人的評価を紹介する。また、哲学の入門書」として使えるのかどうか、私個人の意見を改めて述べていきたい。

管理人 (Rausi) 星評価
4.5

一般的な哲学入門書ではない

別項目でも解説している通り、「哲学の教科書」は一般的な入門書とは違う。それは中島義道氏が「本書は入門書にはならない」と語っていることからも分かる。中島氏によると、哲学は厳密な意味では学問ではないのだから、客観的な視点で解説する類の入門書は成り立たない、ということになる。

主観で語られる

学問ではない哲学の本質を説明しようとすると、著者の主観を通してそれが行われることとなる。堅苦しい言葉の定義をしないで、感覚的に分かりやすくいうと「中島義道の哲学観」が反映されているのが本書である。

つまり、中島義道という個人のフィルターを通して「哲学とは何か」を解説しているのだ。これだけで、一般的な哲学入門書とは違うのが分かるだろう。

突き放したところもある

本書の内容は哲学の専門知識がなくても理解できるが、一般的な当たり障りない入門書に比べれば難しい部分もある。また、本文中にも書かれている通り、哲学的興味・問題意識のない人には、本書含めてどのような哲学関連書籍もつまらないものになるだろう。

中島氏はそのような「にわか」や「適性のない人」に合わせる姿勢は見せない。もちろん、専門用語を使わずに平易な言葉で説明されているが、本当の意味で哲学的興味のない人には、読み切るのが難しい一冊になるはずだ。

密度の濃さが魅力

私個人は「哲学の教科書」の内容に感動した部類の人間である。なぜなら、漠然と「哲学とは何なのか?」という疑問をもやもやと持っていたときに読んだ一冊で、その疑問に見事に応えてくれたからだ。

特に「哲学とは何でないか」という項目は興味深く、哲学と似ているようで違う分野 (芸術・思想・人生論etc) と対比させて語られる部分は面白かった。思想・人生論などと哲学が違うと考えても、それを言語化して誰かに説明するのは難しく、この部分を分かりやすく解説しただけでも本書は価値がある。

なお、中島氏は哲学と芸術は違うといい、それはその通りだが、「厳密な意味で学問ではなく」、「主観で語られる 」部分に限定していえば哲学と芸術は似ている部分もあるのではないだろうか。

たとえば、芸術において、優れた芸術家は作品制作などの経験を通して得られた「独自の芸術観 (≒コンセプト)」を持っている。それは学問として芸術を研究しているだけの人間 (美術研究家) には、手の届かない領域だろう。

これを哲学に置き換えると、哲学を学問として研究している「哲学研究者」と、純粋に哲学的物事を探求している「哲学者」は違う。ここまで読んできた方なら分かると思うが、本書は「哲学者」になることを誘う、きっかけを与えうる一冊である。

哲学の教科書はストイックな入門書

「哲学の教科書」は一般教養として広く浅く哲学知識を解説するような類の本ではない。そのような意味でいえば、入門書としては不適格である。

ただ、哲学の本質に迫り、本当の意味で「哲学すること」に誘う一冊ではある。本書をきっかけとして哲学の世界に目覚めるような本物志向の人々に限定すれば、入門書としての役割も果たしているといえるだろう。

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