演繹法とは? 分かりやすく解説

本を持つデカルトの自画像 哲学

演繹法 (えんえきほう) は哲学の世界でよく使われる言葉である。その考え方は他の分野でも応用可能なので、一般教養として理解したい人も増えている。

今回の記事では、この演繹法に焦点を当て、どのようなものなのかを分かりやすく解説する。また、後半では、提唱者のデカルトにも触れていくので併せて読んで頂けると幸いである。

演繹法の概要

ここでは、演繹法の概要について、いくつかの項目に分けて説明する。

なお、演繹法と関係の深い「帰納法」、「アブダクション」、「弁証法」については別記事に詳しく書いたので、下記のものを必要に応じて読んで欲しい。

読み方

難しい漢字だが、演繹法 (えんえきほう) と読む。また、よくペアで解説されるのが帰納法 (きのうほう) である。どちらも日常生活では、ほとんど使わない言葉といえるだろう。

演繹法 (三段論法)とは?

演繹法とは、「論理的推論方法」の一つである。もっと噛み砕いていえば、論理的に物事を推測するときの「型」として、演繹法がある。

そして、演繹的な考え方をするときに欠かせないのが「三段論法」なのだ。三段論法というのは文字通り、三段階に分けて論理を展開する方法である。

①人間は死ぬ (大前提)

②ソクラテスは人間である (小前提)

③ソクラテスは死ぬ (結論)

上記は三段論法 (演繹法) の有名な例だ。①普遍的な大前提 (絶対的な決まりや法則) があり、そこに②小前提 (新しく得た知識や情報) を付け加えて、③最終的な結論を導いていく。

つまり、①と②の情報を関連付けて、自然な形で③の結論を導き出すのが演繹法となる。

具体例

更に分かりやすい具体例を出して演繹法 (三段論法) を説明したのが下記である。

①Z国各地に点在する村には高齢者が多い (大前提)

②Z国未開の地に新しい村ができる (小前提)

③Z国の新しい村にも高齢者が多くなるはずだ (結論)

この具体例でも、①と②を経由して③の結論が導き出されているのが分かるだろう。ちなみに、①の大前提は、帰納法という考え方でつくりだすこともできる。

要するに、演繹法と帰納法は別々のものではなく、互いに影響を与え合うということだ。帰納法によって「大前提」が導き出され、その大前提を演繹法で使用して、新しい「結論」が出てくるのである。

興味がある人は「帰納法」記事の具体例と併せて読めば、より理解も深まるだろう。

演繹法の提唱者はデカルト

演繹法を提唱したのはルネ・デカルトという哲学者である。「我思う、ゆえに我あり」という言葉を残したのでも有名であり、聞いたことがある人も多いはずだ。

また、デカルトは下記のような規則をつくり上げて、自身の論理を展開していった。デカルト本人がどのような人物だったのかは、下記記事で詳しく解説している。

→デカルトってどんな人? その哲学をわかりやすく解説

・明証的に真であると認めたもの以外、決して受け入れないこと。(明証)

・考える問題をできるだけ小さい部分にわけること。(分析)

・最も単純なものから始めて複雑なものに達すること。(総合)

・何も見落とさなかったか、全てを見直すこと。(吟味)

引用:Wikipedia ルネ・デカルトより

この規則は普段の生活で積極的に使うようなものではないが、教養として知っていても損はないだろう。

演繹法の雑学

ここでは、演繹法に関する雑学をいくつか紹介する。最後の「おまけ」のようなものなので、あまり期待せず、気軽に読んで欲しい。

演繹法を英語でいうと?

いくつか英語表現があるようだが「deductive method」「deductive reasoning」「deductive approach」などと表現するのが一般的なようである。

演繹法と数学

数学的な考え方のほとんどは演繹法を下敷きとしたものである。ただ、ごく一部に帰納的な考え方をするところもあるので、それを「数学的帰納法」と呼んで区別している。

演繹法は覚えておいて損のない知識

演繹法は現代でも通用する推論方法であり、論理的な思考には欠かせないものである。そのため、その型を覚えておけば、自分の頭で展開する論理にも自信が持てるようになるだろう。

また、演繹法と帰納法はペアになる考え方である。両方の思考法や関係を知ることで、より理解が深まるはずだ。

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