あなたはルイーズ・ブルジョワの名言 (言葉) に興味があるのだろう。彼女の残した言葉の数々は素晴らしいが、それをまとめたサイトは意外と少ない。
そこでこの記事では、ルイーズ・ブルジョワの名言を厳選して分かりやすくまとめた。
記事を読めば、彼女の人生や作品に対して理解が深まり、より繊細にその世界を味わえるはずである。
この記事に書かれていること
記事の内容を短くまとめると下記のようになります。
名言は「日本語」と「英語」の両方表記、さらに画像も添付しました。
気に入ってもらえるとうれしいです。
ルイーズ・ブルジョワとは?→フランス出身の芸術家。蜘蛛の彫刻が有名。
ルイーズ・ブルジョワの名言→有名なものから、そうではないものまで12選紹介。
ルイーズ・ブルジョワの本→作品や本人の言葉を味わえるものを2冊紹介。
ルイーズ・ブルジョワとは?
ルイーズ・ブルジョワ (Louise Bourgeois /1911~2010年) は、フランス出身の芸術家である。最も有名な作品は「ママン / フランス語で『母』の意味」と名付けられた巨大な蜘蛛の彫刻であり、これは東京の六本木ヒルズでも見ることができる (作品は上掲画像参照)。
また、2024~2025年には、六本木の森美術館で「ルイーズ・ブルジョワ展」も開催された。彫刻以外にも、絵画や版画など多彩な表現方法で自身の感情や記憶などをテーマに作品制作を行い、世界的に評価されている。
ルイーズ・ブルジョワの名言 (言葉) 紹介
ここでは、ルイーズ・ブルジョワの名言 (言葉) を「日本語→英語」の順番で12選紹介する。
基本的に、画像はルイーズ・ブルジョワ展 (森美術館) のキャプションを撮影したものであるが、それが読みづらい場合は文字だけの部分も一緒に見てほしい。
また、名言の一番下の部分には、補足や私個人の感想なども入れた。
ルイーズ・ブルジョワの名言①
生まれるとは追い出されること
見放されること、そこから憤りが生じる。
To be born is to be ejected
to be abandoned, from there comes the fury.
引用:ルイーズ・ブルジョワ展 (森美術館) キャプション
全体を通して見ると、小さいときにトラウマを経験するなど、決して明るいとはいえなかったルイーズ・ブルジョワの人生。
そんな彼女にとって、この世に生まれるのは「ポジティブ」なことではなく、どちらかというと「ネガティブ」なことだったのだろう。
ルイーズ・ブルジョワの名言②
「攻撃」しないと、生きている気がしない。
When I do not ‘attack’ I do not feel myself alive.引用:ルイーズ・ブルジョワ展 (森美術館) キャプション
彼女の生き方 (価値観) を語ったものだが、「攻撃」は古くからある芸術の特性の一つである。
実際、ルイーズ・ブルジョワの言葉や表現のいくつかには、ダークである種の「攻撃性」を感じさせるものがある。
そのような意味で、彼女は多くの人がイメージする「芸術家像」に一致する側面もある人間だったのかもしれない。
ルイーズ・ブルジョワの名言③
芸術は正気を保証する。
Art is a guaranty of sanity.
引用:ルイーズ・ブルジョワ展 (森美術館) キャプション
ルイーズ・ブルジョワにとって芸術 (作品をつくること) は「感情を吐き出す」行為でもあったように思う。
したがって、作品制作を通して感情を吐き出す (昇華する) ことによって、正気 (正常な心) を保とうとしていたのではないだろうか。
ルイーズ・ブルジョワの名言④
わたしは母の合理性と父の病んだ心を受け継いだ。
linherited my mother’s rationality and my father’s sick heart.
引用:ルイーズ・ブルジョワ展 (森美術館) キャプション
小さいころのルイーズ・ブルジョワの家庭環境は複雑だった。特に父親と母親の影響は強く、それは一生続き、自身の作品にもテーマとして度々登場している。
自分の父親と母親について語るこの短い言葉にも、そんな複雑な心境がうかがえる。
ルイーズ・ブルジョワの名言⑤
おかしくなりそうなわたしをなだめて、
わたしを見捨てないで、
わたしのすべてを
しっかり支えて。
Keep me together,
do not abandon me,
hold my bones
together.引用:ルイーズ・ブルジョワ展 (森美術館) キャプション
ルイーズ・ブルジョワは98年の長い人生でうつ病や自殺未遂など、ハードな経験も度々している。
この言葉には、そんな彼女の「心の叫び」ともいうべき、切実な感情が込められてるように思う。
ルイーズ・ブルジョワの名言⑥
わたしのナイフは舌のよう
あなたが好き、あなたが憎い。
わたしが好きでないのなら、 襲ってやる。
ナイフの両刃は極めつき。
My knives are like a tongue –
I love you, I hate you.
If you don’t love me, I am ready to attack.
They’re very double-edged.
引用:ルイーズ・ブルジョワ展 (森美術館) キャプション
語っている内容は矛盾した心理を現わしていて暗く複雑だが、「詩的な味わい」もある言葉といえるだろう。
ルイーズ・ブルジョワの言葉の数々には、これ以外にも詩的な味わいを感じさせるものがいくつかある。
ルイーズ・ブルジョワの名言⑦
わたしの子供時代は魔法を決して失わない、
謎を決して失わない、ドラマを決して失わない。
My childhood has never lost its magic,
it has never lost its mystery, and it has never lost its drama.
引用:ルイーズ・ブルジョワ展 (森美術館) キャプション
他の項目でも少し触れたが、ルイーズ・ブルジョワの幼少期の家庭環境は複雑だった。そして、その影響はいろいろな意味で一生続いた。
名言⑦~⑪までは、主にこの幼少期の家庭で経験したことをもとにして出てきた言葉の数々である。
ルイーズ・ブルジョワの名言⑧
健全なはずの環境で何年も前に生じた象徴的な行為。
家庭という環境は健全なはずなのに、
たいがいとてもとても心乱される。
Symbolic acts that occurred years ago in a supposedly healthy environment.
The home environment is supposed to be healthy,
I am usually very, very disturbed.
引用:ルイーズ・ブルジョワ展 (森美術館) キャプション
ここでいう「象徴的な行為」とは、父親の不倫のことだろう。ルイーズ・ブルジョワの父親は家に来ていた若い家庭教師と不倫関係にあったのだ。
そのことに気づいた彼女は、家庭で自分の居場所がさらに無くなっていくのを感じたという。この経験や自身を否定する父親の言動が大きなトラウマになった。
ルイーズ・ブルジョワの名言⑨
象徴的な行為はじつに多くの形をとりうる。
ひとによっては何であれ本業の完璧主義者になるか。
それとも書くのもいい、物語を書くのもいい。
それとも家に手をかけるのもいい。
Symbolic acts can take many forms.
Some people may be perfectionists by trade.
Or it’s good to write, it’s good to write stories.
Or maybe you can take care of the house.
引用:ルイーズ・ブルジョワ展 (森美術館) キャプション
「象徴的な行為」とは、一つではなく人それぞれいろいろな形があるということだろう。
仕事に打ち込むのもよいし、創造的な行為に没頭するのもよいだろう。
ルイーズ・ブルジョワの名言⑩
そのときひとは象徴的な行為を始める。
わたしの場合には彫刻にとりかかる。
At that time, one begins a symbolic act.
In my case, I start working on a sculpture.
引用:ルイーズ・ブルジョワ展 (森美術館) キャプション
芸術家であるルイーズ・ブルジョワにとっての「象徴的な行為」とは、彫刻 (作品制作) だった。
この言葉は、次の「名言⑪」にもつながっていく。
ルイーズ・ブルジョワの名言⑪
もし昇華できるのなら。
それがどんなやり方であっても ありがたいと思うべきだと思う。
ほかの職業のことは話せないが、 芸術家はその力に恵まれている。
If you can sublimate.
I think we should be grateful for any way we can sublimate.
I can’t speak for other professions, but artists are blessed with that power.
引用:ルイーズ・ブルジョワ展 (森美術館) キャプション
子供の頃の苦い経験を「作品という形で昇華」するのが、芸術家であるルイーズ・ブルジョワのやり方である。
彼女が言う通り、芸術家はその力に恵まれており、他の職業ではなかなかできない方法だろう。
ルイーズ・ブルジョワの名言⑫
地獄から帰ってきたところ。 言っとくけど、素晴らしかったわ。
I have been to hell and back. And let me tell you, it was wonderful.
引用:ルイーズ・ブルジョワ展 (森美術館) パンフレット
ルイーズ・ブルジョワ展 (森美術館) のパンフレットにも使われていた有名な言葉である。
ルイーズ・ブルジョワの生涯と作品の世界観は基本的に暗いが、この言葉には、それだけではない彼女の「強さ (生命力)」のようなものも感じることができる。
ルイーズ・ブルジョワの世界をもっと知る
これまで見てきた通り、作品だけでなく、数々の「言葉」からも、暗い内容ではあるものの「詩的な美しさ」を感じさせるのがルイーズ・ブルジョワの特徴といえる。
また、その生涯と作品制作が密接に結びついているのも興味深いところだろう。ここでは、そんなルイーズ・ブルジョワの「言葉」や「作品 (人生)」をより深く味わえる本を二冊紹介する。
ルイーズ・ブルジョワの本①
ルイーズ・ブルジョワ 糸とクモの彫刻家 は一言でいえば「絵本」である。ただ、普通の絵本と違うのは「芸術的な感性」でつくられているところだ。
それは表紙などのイラストを見れば分かるだろう。文章も詩的できれいだ。2017年のボローニャ・ラガッツィ賞を受賞したこの一冊は、子供だけではなく、アートなど美しいものが好きな大人も楽しめる。
ルイーズ・ブルジョワの本②
2024~2025年に六本木の森美術館で「ルイーズ・ブルジョワ展」が開催された。
このときの公式カタログ (図録) が「ルイーズ・ブルジョワ展 地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」である。
このカタログには、ルイーズ・ブルジョワの作品はもちろん、論考やブルジョワ本人の日記も掲載されているので、視覚に加えて「言葉」でもその世界観を存分に味わえるだろう。
全体のまとめ
今回はルイーズ・ブルジョワの名言 (言葉) 12選と関連する資料をいくつか紹介した。
もし、ルイーズ・ブルジョワがつくりだす世界が気に入ったのなら、六本木にある彫刻作品を見に行ったり、関連する美術本に目を通したりするのもよいだろう。
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