あなたはヒルマ・アフ・クリントの名言 (言葉) に興味があるのだろう。ただ、ヒルマ・アフ・クリントは近年再評価が進んだ画家であり、その名言を日本語で紹介したものはまだまだ少ない。
そこで、この記事では、ヒルマ・アフ・クリントの名言を日本語と英語で楽しめるように分かりやすくまとめた。
記事を読めば、彼女の名言をまとめて知ることができ、その人間性や作品を理解するうえで役立つはずだ。
この記事に書かれていること

今回の記事に書かれていることを短くまとめると、下記のようになります。
ヒルマ・アフ・クリントの名言を中心に、周辺情報もいくつか紹介しています。
特に名言のところは、楽しんでもらえると嬉しいです ^^)
・ヒルマ・アフ・クリントとは→スウェーデン生まれの女性画家。
・ヒルマ・アフ・クリントの名言→「日本語」と「英語」で彼女の言葉をいくつか紹介。
・ヒルマ・アフ・クリントをより深く味わう→関連する資料などを紹介。
ヒルマ・アフ・クリントとは?

ヒルマ・アフ・クリント (1862~1944年) はスウェーデンの画家である。彼女は正統な美術教育を受け、卒業後もその技術力に裏打ちされた伝統的な絵画表現で順調にキャリアをスタートさせた。
一方、今でいうスピリチュアルやオカルト (神智学/人智学) などにも興味を持ち、その体験や思想を「抽象絵画」として制作。これは、カンディンスキーやモンドリアンなどの有名な抽象画家よりも先行して描かれたものだった。
近年、彼女の作品は再評価が進み、日本を含む世界各地の美術館 (2013年ストックホルム近代美術館、2018年ニューヨーク・グッゲンハイム美術館、2025年東京国立近代美術館) で大規模な展覧会が開催されている。
なお、彼女の作品を理解するうえでカギとなる「神智学」や「人智学」については、下記の関連記事でも解説している。
ヒルマ・アフ・クリントの名言 (言葉) 紹介

ここでは、ヒルマ・アフ・クリントの名言 (言葉) を「日本語」と「英語」の両方で紹介する。
それぞれの名言の下にあるのは、私個人の解釈や感想である。
ヒルマ・アフ・クリントの名言 ①
「私の絵画の精神的な内容は、その絵画に描かれている他の内容や他の読み方から切り離されていなければなりません」
“The spiritual content of my paintings has to be isolated from anything else the paintings might be about, or any other way of reading them”.
引用:https://00m.in/lOXVn
目に見えない精神世界まで、抽象絵画という手法で表現しようとしたヒルマ・アフ・クリント。それは当時、誰もやっていない新しい試みだった。
そのため、従来の絵の見方などを離れて、鑑賞者にも新しい視点で読み取ってほしいといっているのではないだろうか。
ヒルマ・アフ・クリントの名言 ②
「私はその女性を霊的覚醒の担い手とみなした」
“I saw the woman as the carrier of the spiritual awakening”.
引用:https://00m.in/wzMNF
「その女性」とは、具体的に誰のことであろうか。たとえば、彼女が深い関心を持っていた神智学においては、「ヘレナ・ブラヴァツキー(1831~1891年)」という女性が中心となって活動、大きな影響力があった。
ヘレナ・ブラヴァツキーは「神智学」に関する著書をいくつか残しており、その中でも神智学の鍵は、「初心者向けの解説本」となっている。
ヒルマ・アフ・クリントの名言 ③
「スケッチを1つ完成させるたびに、人間、動物、植物、鉱物、またはすべての創造物に対する私の理解がより明確になります」
“Every time I succeed in finishing one of my sketches, my understanding of humanity, animals, plants, minerals, or the entire creation, becomes clearer”.
引用:https://00m.in/zjdyF
ヒルマ・アフ・クリントはアカデミックな美術教育も受けている。そのため、絵画を描くためのしっかりとした技術を持っていた (抽象表現だけではなく、写実的に描く技術もあるということ) 。
そのようなスキルを使って描かれる絵 (スケッチ) は、対象物の新たな理解や発見につながっていくのだろう。
ヒルマ・アフ・クリントの名言 ④
「パレットを手に取り、サプライズに備えます」
“I would pick up my palette and start preparing for surprises”.
引用:https://00m.in/xrReo
彼女がつくった初期の「抽象絵画」は、無意識的に描くという要素が強かった。これは、ダリなどのシュルレアリストが採用した「自動描画 (オートマティスム)」とほぼ同じやり方である。
理性を使わずに、無意識的にキャンバスに描かれる形や色は文字通り毎回サプライズ (驚き) だったはずだ。シュルレアリスムについてより詳しい内容は、デ・キリコの紹介記事で解説している。
ヒルマ・アフ・クリントの名言 ⑤
「絵は下書きなしで、直接私を通して大きな力で描かれました。絵が何を表わすのか全く分かりませんでしたが、それでも私は筆遣いを一つも変えずに素早く確実に描きました」
“The pictures were painted directly through me, without preliminary drawings and with great power.I had no idea what the pictures would depict and still I worked quickly and surely without changing a single brush-stroke”.
引用:https://00m.in/fhBsw
名言④で述べた通り、ヒルマ・アフ・クリントの抽象絵画には、「理性」による制約を受けない自動描画 (オートマティスム) に近い要素がある。
そのため、本人も絵が完成するまでどのようなものになるか分からなかったのだろう。霊的な存在からメッセージを受け取り、それを自動描画で表現するというのはとても斬新な手法だった。
ヒルマ・アフ・クリントの名言 ⑥
「より深く見る才能を与えられた者は、形を超えて見ることができ、あらゆる形の背後に隠れている、人生 (命) と呼ばれる素晴らしい側面に集中することができます」
“Those granted the gift of seeing more deeply can see beyond form, and concentrate on the wondrous aspect hiding behind every form, which is called life”.
引用:https://00m.in/zjdyF
目に見える表面的な形や色だけではなく、目に見えないけどそこにある「何か」を表現しようとしたのがヒルマ・アフ・クリントの芸術だ。
そして、人生の4段階(幼年期、青年期、成人期、老年期)をテーマにした抽象画をある時期からつくり始める。これが、彼女の作品の中で特によく知られている「10の最大物」と呼ばれる連作である。
ヒルマ・アフ・クリントの名言 ⑦
「既知の形で命を失う覚悟がある人にのみ、人生は無限に素晴らしい美しさと完璧さをまとった新しい姿で現れます」
“Only to one who is prepared to lose one’s life in its known form, life will appear newly robed in infinitely greater beauty and perfection”.
引用:https://00m.in/Nbnab
具体的な意味の解釈はいろいろできるだろうが、たとえば、アカデミックな絵画表現を離れて、全く新しい独自のそれをつくろうとする (つくった) 自身のことをいっているのか。
または、神智学 (人智学) において、普段は見ることができない真理のようなものを発見するために必要なことをいっているのだろうか。なかなか、意味深長な名言 (言葉) である。
ヒルマ・アフ・クリントの名言 ⑧
「人が真実に仕えないなら、人生は茶番です」
“Life, is a farce if a person does not serve truth”.
引用:https://00m.in/OhHsz
彼女がいう「真実」とは、傾倒していた神智学 (人智学) を通して見る精神的な世界のことだろうか。そうだとしたら、その「真実」に仕えた結果、彼女は素晴らしい作品の数々を残したことになる。
実際、ヒルマ・アフ・クリントが抽象絵画制作を始めたきっかけは、交霊の集いにおける霊的存在からのメッセージがきっかけだった。
ヒルマ・アフ・クリントの名言 ⑨

「あなたには神秘的な任務が待ち受けている。 自分が何を求められているのか、すぐに十分理解できるだろう」
“You have a mystery service ahead, and will soon enough realize what is expected of you.”
引用:東京国立近代美術館「ヒルマ・アフ・クリント展 (2025年)」キャプション
上掲画像は「ヒルマ・アフ・クリント展」を鑑賞したときに撮影した年表の一部分である。説明文の通り、この言葉を最後にクリントは81歳で亡くなった。
また、彼女は生前、自分がいなくなってもしばらくは作品を公表しないように遺族に伝えていた。当時の時代背景では、自身がつくった先進的な作品の数々はまだ、理解されないと考えていたからである。
ヒルマ・アフ・クリントをより深く味わう
ここでは、ヒルマ・アフ・クリントの世界をより深く味わえるグッズを厳選して紹介する。
ヒルマ・アフ・クリントの動画 (映画/DVD)
ヒルマ・アフ・クリントに関するドキュメンタリー映画も過去に制作されている。それをDVDとして発売したのが「見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界」である。
これは美術史の視点から、 なぜクリントの評価が遅れたのかを考察する内容になっている。また、映画の中で彼女の「作品」や「言葉」も紹介されるので、そのような観点からも楽しめるだろう。
記事執筆時点では、Amazonにおいて1か月で50点以上購入されており、美術グッズとしては人気の商品。気になる人は売り切れ等で後悔しないように、早めにチェックしておくのがおすすめだ。
ヒルマ・アフ・クリントの本 (雑誌)
美術手帖は1948年創刊の歴史ある美術雑誌。美術手帖 2025年04号では、ヒルマ・アフ・クリントが特集されている。
その内容は代表作解説などの基本的なものから、より踏み込んだ議論まで、初心者から上級者まで満足できるものだ。
もちろん、作品写真も多数掲載されているので、視覚面でも楽しめる。また、表紙に使われているクリントの絵もとても美しい。
ヒルマ・アフ・クリントの公式図録
東京国立近代美術館において、2025年3月4日〜6月15日の日程で開催中の「ヒルマ・アフ・クリント展」の「公式図録 (カタログ)」が楽天ブックスやヤフーショッピングで販売中だ。
公式のものなので内容も現地で購入する図録と同じで、販売価格も変わらない。楽天ブックスで販売される図録については、送料も無料なのでよりお得感があるだろう (2025年4月現在の情報) 。
ヒルマ・アフ・クリント展の全出品作品約140点をカラー図版で掲載しているので、ファンはぜひ手に入れておきたい。
全体のまとめ
ヒルマ・アフ・クリントの名言は、自身の作品や傾倒していた神智学 (人智学) に関するものが多い。
必要に応じて、関連記事や資料 (グッズ) もチェックしていけば、さらに知識の幅が広がってその世界をより深く味わえるだろう。
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