あなたはアシュリー・ヘギという人を知っているだろうか?過去には、ドキュメンタリー番組にも取り上げられて話題になった人物である。
今回は彼女に焦点を当て、改めて生前のエピソードや言葉を振り返る。今でも生きることに悩む人、自分を愛せない人には感じるものがあるだろう。
この記事に書かれていること
この記事に書かれていることを短く表すと、下記の通りとなる。詳細については、記事本文を読んでほしい。
なお、全体を端的に表現するため、文中では基本的に「敬称略」で書かせてもらっている。
・アシュリー・ヘギとは→生まれつきプロジェリアの病気を持つ、カナダの少女。プロジェリアは老化が異常な速度で進行する難病。
・どんな人だったのか→人の役に立つこと、そして動物が好きな優しい少女。ボーイフレンドのジョンは、彼女の人生に大きな影響を与えた。
・アシュリー・ヘギの最期→2009年4月21日、17歳の若さで亡くなった。
アシュリー・ヘギの基本情報
ここでは、アシュリー・ヘギさんがどのような人なのかについて、二つの項目に分けて紹介する。
アシュリー・ヘギとは?
アシュリー・ヘギさん (1991~2009年) とは、「プロジェリア」という遺伝子の病気にかかったカナダの少女である。プロジェリアは健常者の10倍近いの速さで老いる、平均寿命13歳の難病だ。
その闘病の様子は、日本のテレビでも度々紹介され、大きな反響を呼んでいた。また、アシュリーにも日本からの応援の声が届き、日本好きになったというエピソードもある。
彼女は「人に怒らずにいられる」、「面白くてハッピー」、「動物が好きで、その世話が上手」という自分を心から愛し、病気についても不幸に思ったことはないと語っている。
エピソード
彼女にまつわる、いくつかのエピソードも紹介しよう。
この内容は、実際に放映されたアシュリーのドキュメンタリー番組をもとに、感想も加えながら書き起こされたようである。
<家族旅行>
楽しみにしていた家族旅行。「これも、持ったでしょ。あれも持ったでしょ」と鞄の中身を前日にチェックしてワクワクしている姿は他の女の子と一緒。
今回アシュリーちゃん家族が行く場所はエスト・エドモントンモールといってショッピングモールの中に遊園地やプールが設置されている世界最大のインドア施設。あんなにワクワクしていたのに、アシュリーちゃんの様子がちょっと変だった。気持ちがブルーになってしまって口数も少ない。普段生活している小さな町とは全く違う華やかな世界をみてアシュリーちゃんは何を思ったんだろう。
そんなアシュリーちゃんが初めてカツラ屋さんに足をとめてカツラを買った姿も印象的だった。ママのロリーもパパも少しビックリ、そして複雑な表情をしていた。
引用:http://dolovelifestyle.blog.fc2.com/blog-entry-37.html
<親友クレア>
小学校時代からのアシュリーの親友クレア。二人は友情という固い絆で結ばれていた。短い命を精いっぱい生きるアシュリーを尊敬するときっぱりというクレア、毎日一緒に学校から帰り、一緒に遊ぶその姿はまるで天使のよう。
中学に入るとクレアは他に友達をつくりアシュリーとの間には距離ができた。「もうバービー人形では遊んでられないわ」というクレア。「確かにクレアと私は親友だった。今はあまり会っていないわ。彼女は彼女の道を、私は私の道を歩きだしたの」と語るアシュリー。引用:http://dolovelifestyle.blog.fc2.com/blog-entry-37.html
モールで新しく出来た同じく派手で可愛いお友達と仲良く話したり、ボーイフレンドとショッピングする様子クレア、そしてアシュリーとよく遊んだクレアの部屋にはもうアシュリーとの写真はあまり飾っていない。
変わりにミュージシャンのポスターや新しい友達の写真がいっぱい壁にかざられていた。その部屋でお化粧に専念するクレア。それに対して一人で絵を描き、動物と遊ぶアシュリーの姿が対照的に写った。
家族や友人関係
ここでは、アシュリー・ヘギさんの家族、関係の深かった友人などを紹介する。
前項のエピソードと併せて見ると、より彼女やその人間関係について理解が深まるだろう。
アシュリーヘギ&母
アシュリーの母親ロリーは、17歳のときに彼女を出産した。最初は難病を持って生まれた子を育てることに絶望して麻薬に逃げた母・ロリーだったが、徐々に現実を受け入れてアシュリーと共に生きることを選ぶ。
なお、当時の夫とはアシュリーが1歳のときに離婚している。一説には、彼女の病気が原因ともいわれている。
アシュリーヘギ&弟
母親・ロリーが最初の夫と離婚した後、教会で新しい出会いがあった。そして、二人は結婚。アシュリーにとっては二人目のお父さんということになる。
やがて、母親・ロリーは妊娠して、エヴァンという男の子を出産する。アシュリーはこの異父弟 (母が同じで父の違う弟) を可愛がっており、幼いエヴァンの世話に幸せを感じていたようだ。
アシュリーヘギ&クレア
エピソードにも登場したクレアは、アシュリーの小学校時代の親友。アシュリーの生き方を尊敬するよき理解者。ただ、エピソードを読めば分かるように、クレアは中学時代から変わり始め、だんだんと二人の間には溝ができていく。
いわゆる、希望に満ち溢れたティーンエイジャーの青春を謳歌し始めたクレア。それに対して、プロジェリアという病気ゆえに、常に「死」を意識して生きているアシュリー。その違いは、外から見ている者には残酷な現実にも感じられる。
アシュリーヘギ&ボーイフレンド
アシュリーには、素敵なボーイフレンドもいた。その名はジョン・タケット。彼もまた、同じプロジェリアの病気を持っている。プロのドラマーになるという夢を叶えるために、病気に負けず一生懸命生きるジョンをアシュリーは愛していた。
片道12時間かけて、アシュリーはジョンに会いにいく。やがて、ジョンは15歳 (16歳という説もある) で短い生涯を閉じる。そのとき、アシュリーは「さよならを言う必要はないわね。だって私の番がくれば、もう一度あなたに会える」と語ったという。
アシュリーヘギの名言
アシュリーヘギさんはその生涯で、数々の言葉 (名言) を残した。
ここでは、その中から、個人的に印象に残ったものを紹介しよう。
「私は、私という人間であることが幸せ」〜I’m happy to be who I am.〜
引用:https://onl.sc/mv9Rs7i
「人の役にたつことをすると気持ちいいよ。」
引用:http://dolovelifestyle.blog.fc2.com/blog-entry-37.html
人はこうなのに、自分はこうだとか、
引用:https://onl.sc/CqXyskW
誰かと自分を比べて、どうこう考えたりしない。
誰だって完璧じゃないもの。
「私は悲しいとき、楽しかったことを思い出すの。
引用:http://dolovelifestyle.blog.fc2.com/blog-entry-37.html
友だちのこと、家族のこと、 自分がどれほどラッキーかって。」
生きるチャンスを与えられているんだもの。
引用:https://onl.sc/CqXyskW
わたしは、自分の定められた時間がくるまで、
すこやかに生きていきたいと思っているわ。
最後に彼女の生き方に大きな影響を与えた、ボーイフレンド・ジョンの名言。
「人生はどう生きるかなんだ。長さは重要じゃない。こんな病気で僕ってなんてかわいそうと思いながら一生悲しいパーティーをつづけるのか。
引用:http://dolovelifestyle.blog.fc2.com/blog-entry-37.html
それとも前へすすみ人生を意味あるものにするのか。僕は自分の命を最大限に生きたい」
アシュリーヘギの最期
アシュリーさんは2009年4月21日、17歳の若さで亡くなった。同年4月17日から体調を崩して入院、その後、体調は回復せず、この世を去った。
大好きな動物のお世話をするために、高校時代はペットショップでアルバイトもしていたアシュリーさん。
生前、病気の痛みについては、「痛みは必ず消えるって知ってるから大丈夫。もし消えなかったら、天国に召される時」と話していたという。
個人的な感想
アシュリーさんの記事を書こうと思ったのは、他の事柄を調べていたとき、たまたま彼女を紹介するメディアを見つけたからである。
彼女のことは、テレビでドキュメンタリーが放映されたときから知っていた。ただ、当時はそこまで深く考えず、顔と名前を何となく見たことあるくらいで、最近はそのことも忘れていた。
私が今になって、アシュリーさんに何か感じたのは、①自身が年齢を重ねたから、②SNSインフルエンサーやマスコミが一方的に決めつける人間の価値基準に辟易していたから、という2つの要素があったからだと思う。
①については、つい最近まで若いと思い込んでいたのが、いろいろな意味でもう若くはないという現実を突き付けられたからである。若くはないと気づくと、「死」を意識する。人生は長いようで短いのだと、時間は有限なのだと、当たり前だけど普段忘れがちなことを改めて考える。
そのような意味で、若い学生でありながらも「死」を意識して生きていた、アシュリーさんの過酷な運命に思いを馳せたのである。②については、たとえば、金持ちかそうではないかなど、経済的価値観だけで人を評価しようとする (学歴なども同類) 。
これは昔からあったことだが、最近はSNSで著名人がこの手の発言を繰り返しするので、余計にその傾向が強まっていると思う。どのような価値観を持つのかは人それぞれ勝手だが、社会が硬直化した一つの価値観を押し付けて、それしか認めないという雰囲気は健全ではなく、多くの人にとって息苦しいものになっているのではないだろうか。
そして、その風潮が高まれば高まるほど、その枠に入れない人は著しく自己肯定感を落とす。また、仮に枠から外れていなくても、一つの価値基準の中で半強制的に競争させられるのは疲れる。
そんな中で、彼女の「素の自分が好き」という感覚、余計なことに怒らないで身近な人の役に立ちながら幸せに暮らしたいという感覚は、自分含めた今を生きる人も学ぶべきものがあるのではないだろうか。また、ボーイフレンド・ジョンの「人生はどう生きるか、長さは重要じゃない」という言葉も重みがある。
重要なのは、アシュリーもジョンも、自分の死を意識しながらこのような生き方、言葉を残したということである。つまり、単なるきれいごとではなく、心の底からそう思ってそのように生きた。この事実が、今の私に影響を与え、同じように何か感じる人がいるかもしれないと思い、今回の記事を書くに至ったのである。
アシュリーヘギについてのまとめ
アシュリー・ヘギさんは難病プロジェリアの影響で短い生涯であったが、その生き方や言葉は多くの人々に影響を与えた。
著書やドキュメンタリー番組で紹介された、生前のエピソードや人間関係を知れば、より考えさせられるものがあるだろう。
アシュリーさんに関する本は、たとえば、下記のようなものがある。
〈追記〉アシュリー ~All About Ashley~
前項でアシュリー ~All About Ashley~ (扶桑社) という本について触れた。これがどんなものか気になる人もいると思うので、私が実際に購入したものを少し紹介しようと思う。
なお、画像サイズや画質については、容量の関係で圧縮しているので、その辺はご理解いただきたい。
本の中には、アシュリー本人はもちろん、恋人であり親友のジョンや家族の写真も多数掲載されている。
その他、学校のクラスメートの写真なども本人の言葉と共にあるので、彼女の素の姿や普段の生活がわかる。
また、彼女の言葉を通して、彼女の前向きな価値観に触れることができる。そして、いくつかあるテーマの中には「命」という少しシビアなものもある。
言葉だけではなく、写真と共に多数掲載されているイラストもこの本の魅力である。イラストはアシュリーさんが描いているらしいが、彼女の言葉と同じく見る者をやさしい気持ちにしてくれる。
アシュリー ~All About Ashley~ は一度読んだ後も、ずっと本棚にしまっておいて時々見返したい、そんな一冊になっている。
私がリサーチした時点では、価格的にも数百円+送料程度で購入可能なので、金銭的な負担が少なく入手できるのも魅力だろう。
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