あなたはルイーズ・ブルジョワ展の感想やグッズに興味があるのだろう。しかし、このような展覧会の感想は、紋切り型で無難にまとめられていることも多い。
そこで、この記事では、実際にルイーズ・ブルジョワ展を見てきた私が多数の写真と共に、本音で感想を書いた。
この記事を読めば、一般的な感想と本音のそれを両方知ることができるだろう。
この記事に書かれていること

この記事に書かれていることを短くまとめると、下記のようになります。
ブルジョワ展で撮影した作品写真は、「感想」の項目でまとめて紹介しています。
その他、気になるところがあれば、お好きな項目から自由にお読みください。
・ルイーズ・ブルジョワ展の概要→LBはフランス出身芸術家。この展覧会は森美術館で開催、国内巡回はなし。
・感想や口コミ→代表作のインパクトや作品世界観に関する言及が多い。私個人の感想は本文に細かく記載。
・ルイーズ・ブルジョワ展のグッズ→現地で見たものを中心に価格などの情報も記載。
ルイーズ・ブルジョワについて

ここでは、ルイーズ・ブルジョワの基本情報を簡単に紹介する。上掲画像の左側が代表的な蜘蛛の作品、右側が本人である。
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人生
ルイーズ・ブルジョワ(Louise Bourgeois/1911~2010年)は、フランス出身の芸術家。その人生の概要は下記の通り。
なお、彼女の人生をより詳しく知りたい場合、ルイーズ・ブルジョワ 糸とクモの彫刻家を読んでみるとよいだろう。
ルイーズ・ブルジョワ(1911年12月25日 – 2010年5月31日)は、フランス出身の芸術家です。
彼女はパリ郊外でタペストリー修理を営む家庭に生まれ、ソルボンヌ大学で数学を学んだ後、最終的に美術の道に進みました。1938年にアメリカ人美術史家と結婚し、ニューヨークに移住しています。
その作品は少女時代の経験やフェミニズムに影響を受けたとされています。巨大な蜘蛛の彫刻「ママン」は世界的に有名です。1993年ヴェネチア・ビエンナーレ米国館で作品展示、1999年高松宮殿下記念世界文化賞彫刻部門受賞。
引用:https://00m.in/ISmZY
代表作品

ルイーズ・ブルジョワの最も有名な作品は巨大な蜘蛛のブロンズ像 (ママン) である。この巨大な蜘蛛の作品は世界各地に9つあり、日本では東京の六本木ヒルズに展示されている。
ブロンズ像 (彫刻) 以外にも、絵画やホログラムなどの多様な表現方法で作品を制作。また、膨大な日記や手紙も残しており、その「言葉」も評価されている作家である。
各作品の詳細については「ルイーズ・ブルジョワ展の感想」項目において、写真付きで紹介している。
ルイーズ・ブルジョワ展 (森美術館) の基本情報

ここでは、ルイーズ・ブルジョワ展 (森美術館 / 2024年9月25日~2025年1月19日) の基本情報を掲載する。
記事執筆時点でルイーズ・ブルジョワ展 (森美術館) は会期終了しているが、備忘録の意味も込めてそれぞれの情報を残している。
概要
ルイーズ・ブルジョワ展の開催概要は下記の通りとなっている。
ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ
主催:森美術館、読売新聞社、NHK
企画:椿 玲子(森美術館キュレーター)、矢作 学(森美術館アソシエイト・キュレーター)
引用:https://00m.in/vKeDg
チケット価格
チケット価格は下記の通りである。オンラインサイトで事前購入すると、当日買うよりも安くチケットを手に入れることができた。
オンラインサイト利用には簡単な会員登録が必要だが、関連する施設のチケットも購入できるので、何かと便利だ。
※( )の料金がオンラインサイトのチケット料金。
【料金一覧】
[平日]
一般:2,000円(1,800円)
学生:1,400円(1,300円)
子供:無料
シニア:1,700円(1,500円)[土・日・休日]
一般:2,200円(2,000円)
学生:1,500円(1,400円)
子供:無料
シニア:1,900円(1,700円)引用:https://00m.in/vKeDg
所要時間と客層
観賞に必要な所要時間は一般的に、1時間30分~2時間程度とされている。個人的には、写真を撮りながらゆっくり鑑賞したので、グッズ購入も含めて3時間弱程度だった。
また、客層は幅広く、私が鑑賞したときはさまざまな年代の人々が来ていた。年齢は30~50代くらいの層が中心だろうか。子供を含めた家族連れというよりは、カップルや夫婦、あるいは一人でじっくり鑑賞している人が多い印象を受けた。
ちなみに、2024年12月に亡くなった中山美穂さんが最後にInstagramに投稿した写真は、ルイーズ・ブルジョワ展のものとされている。亡くなる前、彼女はこの展覧会を見て何を思ったのだろうか。
写真撮影
一部の作品を除き、館内でも写真や動画の撮影が可能。個人的にも多めに写真を撮ったので、それは「感想」の項目で紹介している。
音声ガイド
美術鑑賞のとき、音声ガイドを利用する人も多いだろう。
ルイーズ・ブルジョワ展では、スマホのアプリ形式で配信。音声ガイドのナビゲーターは女優の二階堂ふみさんが務めた。その他、詳細情報は下記の通りである。
【ルイーズ・ブルジョワ展の音声ガイド】
・解説時間:30分
・言語:日本語or英語
・料金:600円 (税込)
巡回について
ルイーズ・ブルジョワ展の巡回について気になる人もいるだろう。たとえば、「ルイーズ・ブルジョワ展 巡回」で検索すると、「ルイーズ・ブルジョワ展 関西 (大阪)」や「ルイーズ・ブルジョワ展 名古屋」などのキーワードが出てくる。
結論からいうと、上記を含めた日本の他の地域には巡回しない。つまり、国内で開催されるルイーズ・ブルジョワ展は「東京 (六本木)の森美術館」だけである。
最後に補足として、海外まで含めると台湾の富邦美術館(ふほうびじゅつかん/Fubon Art Museum)には、2025年3月~2025年6月までの日程で巡回予定。こちらは2024年に開館した新しい美術館で、建物も現代的なつくりとなっている。
ルイーズ・ブルジョワ展の口コミ

ここでは、ルイーズ・ブルジョワ展の口コミ (感想) をブログとSNSに分けて紹介する。
どちらも巨大な蜘蛛の作品やダークな世界観、女性性に絡めた言及が多い。
ブログ (note)
ネット上のブログ (note) にある、いくつかの感想を短くまとめると下記のようになる。
・展覧会は、現代アート好きにおすすめ。理由は作品のスケールが大きく、視覚的なインパクトが強いから。
・女性ならではの強烈なメッセージが特徴で、深い感情や考えを呼び起こす内容。
・展覧会全体がダークファンタジーのような雰囲気。疲労感を覚えるほどの感情的なエネルギーを放っている。
引用:https://00m.in/eFdHJ
・展覧会は難解ながらも、行ってよかったと感じられる内容だった。
・《かまえる蜘蛛》などの作品が、ブルジョワの母への賛歌としての側面を持つと思った。
引用:https://00m.in/fhYxY
・《ママン》など、ブルジョワの個人的な体験や感情を反映した作品が印象的。
・母性や父性、過去と現在のバランスをテーマにした作品が多く、観る者に強い感情を呼び起こす内容。
引用:https://00m.in/gYaPT
sns (X)
ネット上のSNS (X) にある、いくつかの感想を短くまとめると下記のようになる。
ルイーズ・ブルジョワの作品は公共の場などの広い空間で見ることが多いが、今回の展示は室内なのでそれが新鮮だった。
引用:https://00m.in/RPoIp
母親へのリスペクトが込められている巨大な蜘蛛『ママン』が存在感あった。
引用:https://00m.in/BYGFs
ルイーズ・ブルジョワ展の感想
ここでは、森美術館で開催されたルイーズ・ブルジョワ展を実際に鑑賞した私自身の感想を、いくつかの項目に分けて写真付きで紹介する。
なお、総評 (全体の感想) の部分はやや冗長で長文になっているので、興味がある人だけ読んで欲しい。
作品① 彫刻
ルイーズ・ブルジョワが制作する作品で多くの人々の記憶に残るのが、蜘蛛のブロンズ像 (彫刻) を始めとした「立体作品」だろう。これらは細かいコンセプトが分からなくても、見る者を圧倒するような力がある。







作品② ホログラム
個人的に蜘蛛の作品と同じくらい惹かれたのが、ホログラムの作品群である。ホログラムを使った美術作品を生で見るのは初めてで、とても新鮮に感じた。
ちなみに、今回展示されたホログラム作品の中には、実業家である前澤友作氏所有のものも含まれているという。




作品③ 絵画
ルイーズ・ブルジョワは絵画作品も残している。表現としてはやや抽象的なものが中心だが、個人的には、マチエール (絵肌) に味わいを感じるものが多かった。



作品④ 言葉
言葉 (詩) はルイーズ・ブルジョワを語るときに欠かせないパーツの一つだ。実際、今回の展覧会でも、それに注目した展示があった。
ここでは、その中からいくつかの作品を紹介する。なお、彼女が残した具体的な言葉そのものはルイーズ・ブルジョワの名言集で読むことができる。



作品⑤ その他
ここでは、布 (刺繍) でつくった作品など、これまで紹介できなかったものをまとめてお見せしよう。



総評 (全体の感想)
私個人の感想で当たり障りないそれではつまらないと思うので、ここでは、ゴリゴリの主観で少し踏み込んだことを書いていく。
なお、ここで使う美術用語は、学問的な意味で厳密に定義しているわけではない。あくまで私のフィルターを通しての意味付け、これまでの経験などによってつくられた個人の価値観を含んだ使い方である。
感想について結論からいうと、今回のルイーズ・ブルジョワ展はここ数年で見た美術展でもトップレベルに印象に残った、感動したものだった。なぜ、そのように感じたのかといえば、ルイーズ・ブルジョワがつくる世界がいわゆる「純粋なアート」の文脈に通じるものだと感じたからである。
ここでいう「純粋なアート」とは、多くの日本人が「アート (芸術家)」と聞いてイメージするもの、つまり「魂の叫び」のような個人の内面に蓄積した感情を吐き出すようなアートである (美術史の専門用語でいえば「表現主義」に近い) 。
このような活動は長い美術の歴史の中で一時期盛んであったが、「現代アート」が主流の今の時代においては、ほとんど死んでいるといっても過言ではない。
現代アートは現代アートの面白さがあるが、上記のような純粋なアートというよりは、見た目の珍しさなどの「(アートとしての) 娯楽性」を意図した作品も多くなってきたと思う。当然、他の経済活動と同じく商業的価値も何らかの形で意識されることがほとんどだ。これは「時代の流れ」ともいえる。
そのような状況の中、ルイーズ・ブルジョワという、つい最近まで現代に生きていた作家 (彼女は2010年に亡くなった) が「純粋なアート」をつくり続けていたこと。そして、それが世界的に評価されているということ。これは、「純粋なアート」を愛する人、その力を信じる人に勇気を与える事実ではないかと思う。
現代において、純粋なアートはほぼ死んだと思っていた私自身もその一人である。だからこそ、最初に書いた通り、ここ数年でトップレベルに印象に残ったのだろう。作品全体については、私が知っている他のアーティストでいうと、映画監督「デビッド・リンチ」と歌手「ビョーク」の持っている感性や世界と近いイメージで、その二つが交じり合ったような世界観も感じた。
また、彼女がつくる世界はダークだが、「直接的な攻撃性」だけではなく、「作品を通してコミュニケーションを取ろうとする」ところもあるのが、男性とは違う、一般的な意味で女性らしい感性だと思う。
最後にルイーズ・ブルジョワの作品は「現代アート」といろいろな場所で紹介されるのを目にしたが、これまで述べてきた通り、彼女は「現代アーティスト (美術の文脈や資本主義の仕組みの中で上手に活動する芸術家)」というよりは、よい意味で「純粋な芸術家」ではないだろうか。
その証拠にルイーズ・ブルジョワの作品は現代アート目線の複雑なコンセプトはあまりないので、それを詳細に確認しなくても、ある程度感性が合えば感覚的に (仮に言語化できないとしても) その世界を感じることはできる。
一般的に、「現代アート」とは、コンセプト重視でしっかりとそれを理解しないと作品の意味も分からない。資本主義のシステムとも深い関係があるので、ほとんどは何らかの形で商業性も意識されている。作品価値を高めるための「ブランディング」や「戦略」も重要だ。
そのような意味でいうと、ルイーズ・ブルジョワの作品は巨大な彫刻など見た目は「現代アート」だが、やっていることは芸術の力をシンプルに信じて解き放とうとする「純粋なアート」そのものだったのではないかと思う。
ルイーズ・ブルジョワ展のグッズ
ルイーズ・ブルジョワ展では、さまざまなグッズも販売されていた。
ここでは、その中から特に注目度が高いもの、個人的に気に入ったものをいくつか紹介する。
香水

ゲラン・シャリマー (GUERLAIN SHALIMAR) / ミレジム ジャスミンという名称の香水もグッズコーナーで展示販売されていた。
「ゲラン」は1828年にパリで誕生した芸術的な感性を持つブランドであり、その中でも「シャリマー」はルイーズ・ブルジョワがお気に入りで愛用していたものだ。
展示されていたものは特別な数量限定商品。現地と一部店舗など限られた場所だけで購入可能、価格は税込17,710円。記事執筆時点では、公式サイトでも取り扱いがあった。
ポストカード

ポストカードは美術展グッズの定番といえるだろう。ルイーズ・ブルジョワ展でも、ポストカードは販売されていた。
価格は税込で一枚220円。ルイーズ・ブルジョワ展に限ったことではないが、見ていると欲しいデザインがどんどん増えて、最終的にどれを購入しようか迷ってしまうという人も多いのではないだろうか。
ノート

普段使いできるお洒落なノートも販売されていた。サイズ感も丁度よく、仕事などさまざまな場面で使えそうな一冊である。
価格は税込で各1,430円。使い終わったら、机の上などに置いておくだけでも「絵」になるはずだ。
本

ポストカードと共に、公式カタログ (図録) も美術展グッズの定番といえる。ルイーズ・ブルジョワ展でも、公式カタログは販売されていた。
このカタログは、ルイーズ・ブルジョワの作品はもちろん、本人の日記や論考などの「言葉 (文章)」もいくつかのテーマ別に掲載されているのが特徴。
また、彼女の人生を描いた書籍として評価が高いのがルイーズ・ブルジョワ 糸とクモの彫刻家 である。ジャンルとしては絵本だが、文章やイラストが美しいので大人でも十分に楽しめる一冊となっている。
Tシャツ

Tシャツは「半袖」と「長袖」のタイプがそれぞれ販売。そのどちらにも、ルイーズ・ブルジョワの代表作である蜘蛛の作品 (ママン) シルエットがプリントされている (他にも、いくつかのパターンがある)。
価格は半袖タイプが税込3,960円。美術展グッズとしてはもちろん、ファッションアイテムとして見てもよくできているので、物欲を掻き立てられる一枚といえるだろう。
SOPHコラボアウター

先ほどのTシャツとは別に、感度の高いファッションブランドSOPH.(ソフ)とのコラボアイテムも現地で展示されていた。
具体的なコラボファッションアイテムの種類としては、フライトジャケット、フーディー (パーカー)、Tシャツなど。

各アイテムの税込価格は下記の通り。気軽に購入できる価格とはいえないが、実際に展示品を見たときは、それに見合うしっかりとしたつくりだと感じた。
・フライトジャケット 99,000円
・フーディー 39,600円
・シャツ 42,900円
・ロングスリーブシャツ 39,600円
・Tシャツ 20,900円
スパイラルエコバック

個人的に一目見て惹かれたのがこのスパイラルエコバッグ 。これは、LOQI (ローキー) というドイツで企画デザインされているブランドのバックである。
少しクセがあって、アートを感じさせるデザインだが、「エコバック」ということで変に気負うことなく自然に使えそうなのがいい感じ。現地での価格は税込2,420円。
なお、Amazonなどネットでも販売されており、この他にもさまざまなデザインがある。種類が多いので、このようなグッズが好きな人は、見ているだけでワクワクしてくるだろう。
全体のまとめ
記事全体の重要な部分をまとめると次のようになる。
・2024年~2025年に森美術館で開催したルイーズ・ブルジョワ展は、インパクトある作品やその世界観に多くの人が心を動かされ、話題となった。
・私も実際に鑑賞して圧倒された。ただ、彼女の芸術は「(美術史の文脈やコンセプト、経済的価値を重視するという意味の) 現代アート」というよりは、「(個人的な感情を吐き出すためにつくられた表現主義的な意味の) 純粋アート」といったほうがしっくりくると思った。
・展覧会のグッズは魅力的なものが多かった。一部のグッズはネットで買うこともできる。
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