カイン (中島義道) の感想&レビュー | 悩める人を救えるのか?

カインのアイキャッチ画像 哲学

『カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ』は中島義道による著書の中でも人気の一冊である。この本に興味を持つ人々の中には、著書を読むことによって、自己改革につながることを期待する人もいるだろう。

今回の記事では、そのような観点も含めながら、カインの世間一般、及び個人的評価を掲載する。おまけとして、最後には補足情報も記載しているので併せて読んでいただけると幸いである。

この記事に書かれていること

この記事に書かれていることを簡単に要約すると、下記の通りとなる。

①『カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ』の基本情報
→哲学者・中島義道の著書である。

②『カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ』の世間一般評価は?
→amazon☆4.1、楽天ブックス☆3.8。賛否両論あるが、おおむね好評。詳細は本文参照。

③『カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ』の個人的評価
→この本を読むだけでは強くなれないが、文学的魅力がある。詳細は本文参照。

基本情報

『カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ』という本とその著者について、基本となる情報を紹介する。

『カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ』とは?

中島義道著書カインの表紙
カイン表紙

『カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ』とは、中島義道の書著である。2002年に初版が出版された。

基本的には、中島氏と生きづらさを感じている若者であるT君とのやり取りを通して、氏がどのように強く生きていくべきかを説くような内容になっている。

中島義道とは?

中島義道画像
画像引用元:https://bigissue-online.jp/2012/09/14/interview-2/

中島義道は日本の哲学者 (哲学研究者) である。カイン以外の著書も多く出版しており、日本哲学の世界では有名である。

詳しいプロフィールなどは下記記事に書いてあるので、必要に応じてチェックするとよいだろう。

→中島義道のプロフ&名言まとめ

みんなの感想&レビュー

カインに対するみんなの代表的意見を「肯定的」「否定的」の2つに分け、私自身の言葉でまとめて紹介する。

また、主要サイトの点数も同じくまとめて紹介する。

肯定的意見

肯定的な意見では、本を読むことで気が楽になったいうニュアンスのものが多かった。また、言葉が生きていて、本の中に引き込まれたという感じの意見もあった。

中島氏について、繊細で優しい人だとする意見も一定数見られた。これはつまり、本の内容だけではなく、氏の人間性についても惚れているのだろう。

否定的意見

否定的意見では、中島氏の経歴や家庭環境から、余裕のある人間の甘えだとするニュアンスのものが一定数あった。

また、そもそも自身も悲劇的な人生を過ごしてきたのなら、本など書けないだろうというニュアンスの、辛辣な意見もあった。

主要サイトの評価

主要サイトの星評価は下記の通りである。全体としては、好評といえるのではないだろうか。

【主要サイトの星評価】
アマゾン→☆4.1
楽天ブックス→☆3.8

honto→☆3.9
※2023年5月末日現在の星評価

個人的感想&レビュー

カインの目次
カイン目次

ここでは、私が実際に『カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ』を読んで感じたことなどを「焦点を絞ったレビュー形式」で紹介する。

【個人的星評価】
★★★★☆ 4.0

カインを読んで強くなることはない

カインの副題には、『自分の「弱さ」に悩むきみへ』とある。そのため、この本に興味を持つ人の中には、それを読むことによって自身が強く (あるいは生きやすく) なることを期待する人がいるだろう。

しかし、残念ながら、本を読むだけでは強くならない。そればかりか、下手な読み方をして内容を真に受ければ、ますます生きていくことが困難と感じてしまう恐れもある。

なぜなら、中島義道氏が本の中で語る強く生きる方法は、簡単ではないからである。特に、生きることに悩む繊細な若い人にとっては、絶望的なほど難しく感じるだろう。

多くの「普通の人」は、そこまで深く考えずに現実と折り合いをつけていく。ただ、若くて繊細でまじめな人ほど、著書の影響を受けて泥沼にはまっていく可能性がある。そのような意味で、危うさも秘めているのがカインである。

それでも読む価値があると思う理由

前項で述べた通り、カインを読んでも多くの人は強くならない。それでも、この本に興味がある人なら、一度は読んでみるべきだと私は思う。なぜなら、カインには「濃厚な文学作品のような味わい」があり、これを味わうだけでも十分に価値があると感じたからだ。

この濃厚な味わいは中島義道氏の生まれ持った感性、人生経験、それらを表現する文章の巧みさによるところが大きい。恐らく、カインやその著者に興味を持つ人々にとっても、一度読めば魅力を感じて本の世界に引き込まれていくだろう。

そして、このような世界を味わうことは悪いことではない。中島氏が語る世界観が分かる人にとっては、ある種のカタルシス (精神の浄化作用)にもなるはずだ。

カタルシスを感じることは、現実的な生活という文脈では何も役には立たないが、上手に扱えば、明日を生きる精神的な力として活用できるだろう。

補足情報と雑学

著書のタイトルとなっている「カイン」という単語は、さまざまな場所で使われている。ここでは、その意味とどのように使われているかを見ていこう。

カインの意味

アベルを襲うカインのイメージ
画像引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/カインとアベル

カインとアベルは旧約聖書に登場する兄弟であり、キリスト教においては重要な意味を持っている。主な内容は諸事象により、カインはアベルを殺害。その後、神にその罪を追求されて「しるし」を与えられたうえで、追放されるというものだ。

『カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ』の中でも上記に関する記述があり、タイトルは旧約聖書のカインを意識してつけられたものと思われる。

有島武郎 カインの末裔

「有島武郎 カインの末裔」とは、有島武郎という作家が1917年に発表した小説である。タイトルからも分かる通り、この作品も旧約聖書を意識したものになっている。

中山七里 カインの傲慢

「中山七里 カインの傲慢」とは、中山七里によるミステリー小説である。綾野剛&北川景子共演で映画化もされているようなので、気になる人はチェックしてみるとよいだろう。

FF4のカイン

FF4ロゴ
画像引用元:https://jp.finalfantasy.com/titles/finalfantasy4

ファイナルファンタジー (FF) シリーズは有名であり、多くの人が名前くらいは知っているだろう。その4作目のロゴに使われているのが「カイン」という登場人物である (画像参照) 。

カインは主人公ではないが、ロゴに使われていることからも分かる通り、ゲームの中でも重要な役割を果たす人物である。

ちなみに、私自身もFFシリーズは大好きだ。過去には下記のようなFFに関する記事も書いている。もし、興味ある方がいれば読んでいただけると幸いである。

→ファイナルファンタジー (2001年映画) の評価は低い? 改めて考察

『カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ』は文学作品として読もう

カインの一番の魅力は、文学作品のような濃厚な味わいにある。そのため、それを十分に味わう読み方が個人的にはおすすめだ。

カインを読んでも簡単に自己改革するようなノウハウは得られないだろう。しかし、この本が持つ文学的味わいは、精神面に特別な刺激を与えてくれるはずである。

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