狂った一頁 (映画) のあらすじと感想紹介!

狂った一頁のアイキャッチ画像 芸術
画像出典:カラパイア

狂った一頁 (くるったいちぺいじ) は1926年に公開されたサイレント映画である。

今回の記事では、狂った一頁の概要や感想、より深掘りした情報までコンパクトにまとめた。本文を読んで、映画に対する好奇心を満たしてもらえれば幸いである。

この記事に書かれていること

この記事に書かれていることを短くまとめると、下記の通りとなる。

なお、記事本文では、それぞれの項目でより詳細な情報を載せている。

・狂った一頁の概要→1926年公開の映画。精神病院で繰り広げられる人間模様を描く。

・狂った一頁の感想→味のある映像や音響は高評価。内容は難しいとの指摘もある。

・狂った一頁の視聴方法→しっかりした環境で視聴したいなら、アマプラ利用がおすすめ。

狂った一頁 (映画) 概要

映画・狂った一頁の画像
画像引用元:https://karapaia.com/archives/52300954.html

ここでは、狂った一頁の概要について、いくつかの項目に分けて解説する。

狂った一頁とは?

狂った一頁の画像
画像引用元:https://onl.bz/NzdzX9b

狂った一頁 (くるったいちぺいじ) とは、1926年に公開された日本映画である。

サイレント (無声) 映画であること、川端康成などの著名人が制作に関わっていることがこの作品の特徴となっている。

また、芸術的な表現を追求したいわゆる「前衛 (アヴァンギャルド) 映画」であることも見逃せない。狂った一頁は、「日本初の本格的前衛映画」といわれている。

狂った一頁のあらすじ

狂った一頁の一場面
画像引用元:https://onl.bz/NzdzX9b

狂った一頁の基本のあらすじは下記のようになっている。

サイレント映画ということで、予備知識なしにストーリーの細かな部分まで把握するのは難しいが、精神病院入院患者たちの「狂気の世界」が見どころの一つといえるだろう。

元船員の老いた男は、自分の虐待のせいで精神に異常をきたした妻を見守るために、妻が入院している精神病院に小間使いとして働いている。

ある日、男の娘が結婚の報告を母にするため病院を訪れ、父親が小間使いをしていることを知る。娘は自分の母が狂人であることを恋人に悟られないよう懸念している。娘の結婚を知った男は…

引用元:https://filmarks.com/movies/35598

キャスト&スタッフ

狂った一頁の画像
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狂った一頁の主なキャスト&スタッフは下記の通りである。

衣笠 貞之助 (監督)

衣笠貞之助 (きがさていのすけ・1896~1982年没) は日本の映画監督である。本作でも監督を担当。

また、作家の川端康成たちと映画製作プロダクションの「新感覚派映画聯盟」を設立しており、ここで狂った一頁の計画から制作まで行った。

円谷英二 (撮影補助)

円谷英二 (つぶらやえいじ・1901~1970年没) は、撮影補助としてさまざまな技法を実験導入した。

円谷プロダクションの初代社長としても知られ、本作で発見した撮影技法の数々は、後の特撮技術にもつながったといわれている。

川端 康成 (脚本)

川端康成の画像
画像引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/川端康成

川端康成 (1899~1972年没) は狂った一頁の脚本を担当。いうまでもなく作家としても有名であり、代表作に「伊豆の踊子」などがある。1968年、日本人として初のノーベル文学賞受賞。

なお、川端康成の他にも、沢田晩紅や犬塚稔が狂った一頁の脚本に関わっている。

井上正夫 (小使役)

狂った一頁の役者画像
画像引用元:https://shira713.blog.fc2.com/blog-entry-4926.html

井上正夫 (いのうえまさお・1881~1950年没) は、日本の俳優である。狂った一頁では主演を務め、精神病院で働く小使 (雑用に従事する人) 役を演じている。

中川芳江 (妻役)

狂った一頁の役者画像
画像引用元:https://shira713.blog.fc2.com/blog-entry-4926.html

中川芳江 (なかがわよしえ・1886~1953年没) は日本の女優である。狂った一頁では、精神病院に入院する妻役を演じている。

飯島綾子 (娘役)

狂った一頁画像
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飯島綾子 (いいじまあやこ・1907~1954年没) は日本の歌手&女優である。狂った一頁では、精神病院を訪れる娘役を演じている。

南栄子 (踊り子役)

南栄子の画像
画像引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/南栄子

南栄子 (みなみえいこ・1909年~没年不明) は日本の舞踏家&女優である。狂った一頁では、不気味な踊り子役を演じた。

女優・南栄子の顔画像
画像引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/南栄子

30歳頃までダンス講師としても活動。写真を見ても分かる通り、とても美しい人であった。なお、本名は五社栄 (ごしゃ さかえ) という。

狂った一頁の感想

狂った一頁画像
画像引用:http://hurec.bz/book-movie/archives/2008/12/1057_192609.html

ここでは、狂った一頁を鑑賞した感想を「みんな」「私個人」に分けて紹介する。

みんなの感想

引用元:https://onl.bz/XuBS7hu
引用元:https://onl.bz/p1Ggnb3
引用元:https://onl.bz/xWyBWcv

個人的感想

一番の見どころは中盤と終盤辺り。このときは映像・音響も盛り上がり、夢と現実が錯綜したような状態となる。技術的にも、当時の最先端・実験的なものを使っていたのだろうと感じることができる。

刺激としては、この場面が一番強い。ただ、ストーリーは無声映画ということもあり、予備知識がないと分かりづらいのが欠点である。

個人的には、当時の時代背景を想像しながら、感覚的に楽しむ映画だと感じた。最後に役者の演技も全員味があって、悪くはない。映画全体を通して、印象的な場面もいくつかあった。

狂った一頁の視聴方法

画像引用元:https://onl.bz/NzdzX9b

本作をまだ視聴したことのない人もいるだろう。

ここでは、狂った一頁の視聴方法の代表的なものをいくつか紹介する。

アマプラで見る

アマプラ (Amazon Prime) で狂った一頁が視聴できるようになったときは、ちょっとした話題になった。アマゾンユーザーは多く、視聴方法も手軽なので、アマプラで見るのは有効な方法といえる。

→狂った一頁 アマプラ

DVDで見る

日本でDVDは発売していないが、海外でDVD (厳密にいうとブルーレイディスク) は発売しているようだ。

ただ、入手するのは少し面倒であり、DVDで視聴するのはあまり現実的な方法ではないだろう。

なお、画質の悪さなど気にしなければ、本作はパブリックドメイン (知的財産権が消滅した作品) なので、現時点ではYouTubeでも視聴できるようである。

深掘り情報

狂った一頁の画像
画像引用元:https://onl.bz/NzdzX9b

ここでは、狂った一頁をより楽しみたいあなたのために、深掘りした情報をお届けする。

狂った一頁の小説はあるのか?

狂った一頁の脚本 (原作) は作家として有名な川端康成なので、それを小説などの文学作品として読みたいと考えている人もいるだろう。

結論からいうと、小説としては発売されていないようである。ただ、「川端康成全集」の中に脚本そのものは収められているようだ (「川端康成全集」の第2巻に収録されているという情報もある) 。

また、映画は断片的なメモを頼りにした即効的なつくり方をしており、脚本はそれを後からまとめたものだと伝えられている。

→川端康成全集 全35巻セット

狂った一頁の海外の反応とは?

狂った一頁のフィルムは長い間火事で焼失したと考えられていたが、1971年に監督の衣笠の自宅で発見。現存することが確認された。

その後、国内だけではなく、アメリカやフランスなど多くの国で上映。精神病院を題材とした設定や芸術性の高い映像表現が話題となった。

近年も再び注目を集め、国際的にも評価の高い一作である。同じく映画そのものの知名度についても、海外では思いのほか高い。

狂った一頁の考察

最後にいくつかの観点から、本作を考察していこう。

川端康成の脚本
無声映画ということもあり、川端康成の脚本も登場人物のセリフはなく、場面の羅列だけのシンプルなものだった。

そして、全体を通して夢か現実かわからないのが本作の特徴だが、ラストに暗示的な演出がされていることは意味深であり、注目すべき場面である。

映写スピードで変わる印象
本作には、映写スピードの違う2つのバージョンの作品がある。一般的に知られているのは1秒間24コマのバージョンで、フィルムが再発見されたときにつくられたものだ。

一方、1926年に公開されたときは、16or18コマのどちらかで撮影上映された。

恐らくは16コマといわれているが、このバージョンで映画を見ると、ストーリーが強調され、24コマのものとは全く印象が異なるようである。

特撮につながる撮影技法

本作では、特撮につながるさまざまな撮影技法も使われている。たとえば、柔軟な金属製鏡を使って意図的に人物をゆがめ、それを撮影して異常性を強調する方法がある。

特撮というとミニチュアのイメージが強いが、このような撮影技法が原点としてあり、狂った一頁でも視覚面で大きな役割を果たしている。

狂った一頁は多彩な魅力がつまった映画

狂った一頁は国際的にも有名で高く評価されている作品である。また、川端康成など著名人が制作に関わっていることも特徴といえる。

公開当時とその後上映されたものでは映写スピードが違い、それぞれ作品の印象が異なるのも面白い部分だ。一見すると分かりづらいストーリーも、じっくりひも解くと味わい深い。

このように、狂った一頁は知れば知るほど、単なる芸術の枠に収まらない多彩な魅力を感じられる映画なのである。

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