トリエンナーレとビエンナーレの違いとは? その意味も解説

トリエンナーレ会場で映像作品を見る人々 (ブログアイキャッチ画像) 芸術
画像:サイト運営者 (Rausi) 撮影

あなたは「トリエンナーレ」と「ビエンナーレ」の違いについて、知りたいと思っているのではないだろうか。また、それぞれの意味も理解したいのだろう。

これらの答えはAIでも教えてくれるが、今回の記事では、日本を含む世界の主要なトリエンナーレやビエンナーレを紹介するなど、それ以上の内容で濃く分かりやすくまとめた

したがって、本文を読めば、基本から周辺の知識までAIの回答以上に詳しく知ることができるだろう。

この記事に書かれていること

Rausi
Rausi

この記事に書かれていることを短くまとめると、下記のようになります。

記事本文は前半がトリエンナーレとビエンナーレの概要説明中盤が世界各地の主要なそれらの紹介後半がQ&Aになっています。

もちろん、あなたが気になるところだけを読んで頂いても問題ありません。

・トリエンナーレの概要→トリエンナーレとは、3年に一度開催される国際美術展のこと。

・ビエンナーレの概要→ビエンナーレとは、2年に一度開催される国際美術展のこと。

・トリエンナーレとビエンナーレの違い→開催頻度 (3年or2年) がそれぞれ異なる。

トリエンナーレとビエンナーレの違い

トリエンナーレとビエンナーレのイメージ画像 (美術館の入口)
出典:TriennMi Pasquale Formisano is licensed under CC BY-SA 3.0

「トリエンナーレ」と「ビエンナーレ」は具体的にどこが違うのだろうか?

ここでは、各言葉の意味、それぞれの違いについて分かりやすく解説する。

トリエンナーレとは?

トリエンナーレとは、3年に一度開催される世界規模の美術展 (芸術祭) のことである。これの代表的なものが現代アートを中心とした展覧会であり、国内では、横浜トリエンナーレなどがよく知られている。

また、現代アート以外でも、ファッションやデザイン、建築などの幅広い芸術分野をテーマとしたトリエンナーレが世界各地で開催されている。

ちなみに、トリエンナーレの語源はイタリア語の「triennale」である。トリエンナーレ (triennale) は、イタリア語で「3年ごと」の意味。イタリア・ミラノで開催される「ミラノ・トリエンナーレ」は1930年から始まり、最も古い歴史がある。

ビエンナーレとは?

ビエンナーレとは、2年に一度開催される世界規模の美術展 (芸術祭) のことである。トリエンナーレ同様、現代アートをはじめ、建築や映画、演劇などの幅広い芸術分野をテーマとしたさまざまな展覧会が開催されている。

その中でも、イタリアのベネチア (ヴェネツィア) で1895年から行われている「ヴェネツィア・ビエンナーレ」は、100年以上の長い歴史と高い知名度を誇る。

ビエンナーレの語源はイタリア語の「biennale」。ビエンナーレ (biennale) には、イタリア語で「2年ごと (隔年開催)」という意味がある。

それぞれの違いについて

これまで見てきたように、トリエンナーレビエンナーレ大きな違いは「3年に一度開催」されるか、「2年に一度開催」されるかという、開催頻度に関するものだ。

その具体的な内容については、どちらも「国際美術展 (芸術祭)」という意味では同じである。

その他、補足情報としては、日本国内ではトリエンナーレのほうが有名といわれている。また、このようなものを各地で開催するのは、アートを盛り上げるというのはもちろん、開催地域の町おこしや集客のためという目的もある。

世界各国で見られるトリエンナーレ

トリエンナーレは日本はもちろん、海外でもさまざまな地域で開催されている。

ここでは、日本と海外のそれぞれの代表的なトリエンナーレについて紹介する。

トリエンナーレ (日本)

日本で有名なトリエンナーレには、次のようなものがある。

横浜トリエンナーレ

横浜トリエンナーレ (2024) の会場内画像

「横浜トリエンナーレ」日本における、トリエンナーレ (3年に一度の国際美術展) ブームの火付け役といわれている。「横浜」という地名から分かるように、神奈川県の横浜市で行われている。

それは2001年から始まり、開催の度に大きな注目を集めてきた。横浜トリエンナーレの歴史や内容に関する詳細情報、私が実際に参加した感想は下記の関連記事にまとめてある。

あいちトリエンナーレ

あいちトリエンナーレ (表現の不自由展) のロゴ画像
出典:https://00m.in/tLlfe

「あいちトリエンナーレ」も横浜トリエンナーレ同様、高い知名度がある国際展だ。開催地域は愛知県で、2010年に第一回展が行われた。あいちトリエンナーレが全国的に知られるようになったのは、「あいちトリエンナーレ 2019」に関する騒動をさまざまなメディアが取り上げたからだろう。

具体的には、「あいちトリエンナーレ 2019」では「表現の不自由展・その後」という政治的な色合いが濃い企画展が行われ、これについて激しい抗議や脅迫が起き、いわゆる炎上状態となっていた。

最終的に「表現の不自由展・その後」は開催3日で中止が決定。当時を関係者目線で記録、考察する一冊としてあいちトリエンナーレ「展示中止」事件: 表現の不自由と日本がある。

瀬戸内国際芸術祭

瀬戸内国際芸術祭」とは、瀬戸内海の島々を舞台に開催されるトリエンナーレ形式の美術国際展である。2010年から開催され、一貫したコンセプトは「海の復権」。具体的には、芸術祭を通して島々が活力を取り戻し、瀬戸内海が地球上の様々な地域の「希望の海」となることを目指している。

これは都心部の開催ではないが、人々の注目度が高く、多いときは100万人以上の来場者数を記録している日本を代表するトリエンナーレの一つだ。直近の公式資料としては瀬戸内国際芸術祭2022がある。

また、現地では、教育系企業のベネッセが運営管理している「ベネッセアートサイト直島」の各施設も利用できる。その中でも、美術館とホテルが一体となったベネッセハウス <直島>は非常に洗練されており、普段味わえないような特別な体験を提供してくれるだろう。

トリエンナーレ (海外)

海外の有名なトリエンナーレには、次のようなものがある。

ミラノ・トリエンナーレ

ミラノトリエンナーレのイメージ画像 (ポーランドパビリオン作品)
出典:https://00m.in/KeQeu

1930年 (資料によっては1929年と表記しているものもある) からの長い歴史を持つのが「ミラノ・トリエンナーレ」である。開催場所はイタリアのミラノ。

最初はビエンナーレとして始まったものの、途中からトリエンナーレ形式に変更。デザインやファッション、建築などを取り扱う内容で、日本も第11回展から参加している。

テーマ (コンセプト) は毎回変わるが、たとえば、2019年開催のときは「Broken Nature: Design Takes on Human Survival (壊された自然: デザインは人類の生存に挑戦する)」というものだった。

なお、観光地としても人気があるイタリアを自宅で気軽に楽しみたいなら、TRANSITという雑誌を手に取ってみるとよいだろう。プロが撮影した美しい写真が多数掲載されているので、現地の空気感を味わえるはずだ。

広州トリエンナーレ

広州ビエンナーレの会場画像 (美術館正面)
出典:https://00m.in/faFDO

広州とは、中国広東省にある都市の名称。広東省やその周辺の中心都市となっており、地下鉄や高速道路が発達している。

この中国広州で開催されているのが「広州トリエンナーレ」である。第一回展開催は2002年で、メイン会場は広州美術館。このときの参加者は「血縁シリーズ」で知られるジャン・シャオガン、「シニカルリアリズム」の代表的存在であるファン・リジュン、今は亡きホァン・ヨン・ピンなどの各美術作家だ。

日本人にも馴染みのある北京や上海に比べると広州の知名度はやや劣るが、もしこの辺りの地域にも興味あるなら、地球の歩き方を読んでみるとより詳しく知ることができるだろう。

世界各国で見られるビエンナーレ

ビエンナーレもトリエンナーレ同様、日本を含む世界各国で開催されている。

ここでは、日本と海外それぞれの代表的なビエンナーレについて紹介する。

ビエンナーレ (日本)

日本で有名なビエンナーレには、次のようなものがある。

UBEビエンナーレ

UBEビエンナーレ開催会場の上空写真
出典:https://00m.in/swuxa

山口県宇部市で2年ごとに開催されているのが「UBEビエンナーレ」。旧称は「現代日本彫刻展」であり、その名の通り、(野外) 彫刻作品を扱っているのが特徴だ。入選作品の展示は宇部市のときわ公園で行われる。

また、第一回目は1961年に開催という、60年以上の歴史を持つ彫刻展でもある。「最も長く続いている野外彫刻展」として、2024年にはギネス世界記録にも認定された。

なお、第30回展は2024年10月27日~12月22日の日程で開催予定。興味のある人は秋芳洞 (昭和天皇も探勝された鍾乳洞) など他の観光地と一緒に訪れるのもおすすめだ。そのとき、県を代表する宿の一つとして利用客の評価も高い山口県 長門湯本温泉 大谷山荘は一度はチェックしておきたい。

神戸ビエンナーレ

神戸ビエンナーレ2013作品展示風景の画像
出典:https://00m.in/tCbpT

「神戸ビエンナーレ」とは、兵庫県神戸市で2007~2015年まで開催されていたビエンナーレ形式の美術国際展である。

現代アートだけではなく、デザインやファッション、さらには生け花や書道など多様な分野を取り扱う意欲的な内容だったが、資金面の問題などで2015年の第5回展を最後に打ち切られた

また、一般から作品を募集・選出するなど、若手を中心とした新たなアーティスト発掘にも熱心だった。当時を知る資料としては、美術手帖から発行された神戸ビエンナーレ公式ガイドブックなどがある。

中之条ビエンナーレ

中之条ビエンナーレの作品展示風景画像
出典:https://00m.in/UHHmk

群馬県中之条町で隔年開催されているのが「中之条ビエンナーレ」である。中之条ビエンナーレの歴史は2007年から始まり、2025年には第10回展が開催予定だ。参加作家が現地に滞在して制作を行う、アーティスト・イン・レジデンスのプログラムを採用しているのが特徴。

中之条町は数々の自然や温泉郷、伝統的な民俗行事などの美しい里山文化が残っており、ビエンナーレの開催には、その魅力を発信して町おこしにつなげる意味もある。実際、中之条ビエンナーレ開催期間はこの地域の宿泊件数も伸びている。

もし、この地域を訪れるなら、千と千尋の神隠しのモデルになったといわれる江戸期創業の老舗温泉旅館四万温泉 積善館 佳松亭・山荘は泊まってみたい宿の筆頭になるだろう。家族や恋人とはもちろん、記事執筆時点では、「お一人様プラン」も用意されているので、文字通り一人でも利用可能である。

ビエンナーレ (海外)

海外の有名なビエンナーレには、次のようなものがある。

ヴェネツィア・ビエンナーレ

ベネチアビエンナーレの作品展示風景画像
出典:https://00m.in/fsgFG

「ヴェネツィア・ビエンナーレ」はイタリアのヴェネツィアで1895年から開催されており、世界的に有名である。記事執筆時点では、2024年4月~11月の日程で「第60回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」が開催中だ。

美術の他にも、映画や建築、音楽などの多様な分野を扱っている。また、出品が「国単位 (国の代表者作品を展示)」で賞を競い合うような要素もあるのが特徴。前述の第60回ヴェネツィア・ビエンナーレでは、日本館の出品作家として毛利悠子氏が参加した。

最後にミラノ・トリエンナーレの項目でも紹介したが、自宅で気軽にイタリア旅行気分を味わいたいなら、写真集のようなつくりで見ているだけでも楽しめるTRANSITがおすすめである。

光州ビエンナーレ

光州ビエンナーレの会場 (美術館) 入口画像
出典:https://00m.in/RcNte

韓国の光州広域市で隔年開催されるのが「光州ビエンナーレ」である。その歴史は1995年から始まり、2024年現在で第15回展 (2024年 9~12月)まで開催。この第15回展には、現代美術家の内海昭子氏と山内光枝氏が参加している。

ヴェネツィア・ビエンナーレと比べると日本での知名度は低いが、美術の世界においては、アジア圏の重要なビエンナーレの一つと位置付けられている。また、ヴェネツィア・ビエンナーレと同じく、パビリオン (展示館) 方式を採用しているのも特徴だ。

近年観光地としても人気の韓国だが、現地を訪れるときは地球の歩き方 韓国があると安心だろう。これは光州広域市はもちろん、韓国全土をカバーする内容となっている。さまざまな情報がまとめられているので、読み物としても楽しい一冊だ。

Q&A

ここでは、トリエンナーレとビエンナーレに関する雑学をQ&A形式でまとめて解説する。

ビエンナーレはなぜ毎年開催しない?

これまで見てきたように、ビエンナーレとは、2年に一度開催される世界規模の美術展のことだ。ここで、なぜ「毎年開催」ではなく、「2年に一度開催」なのか疑問に思う人もいるだろう

毎年開催すればその都度話題になるし、経済的にも潤うはずである。それでも毎年開催しない理由としては、①規模が大きいので企画や準備に時間がかかる②マンネリ防止と権威性を高めるため、といわれている。

トリエンナーレはなぜ毎年開催しない?

別項でも説明した通り、トリエンナーレとは、3年に一度開催される世界規模の美術展のことだ。ここでビエンナーレ同様、なぜ「毎年開催」ではなく、「3年に一度開催」なのか疑問に思う人もいるだろう

毎年開催しない理由については、ビエンナーレと全く同じである。つまり、①規模が大きいので企画や準備に時間がかかる②マンネリ防止と権威性を高めるため、という二つの理由からだ。

①について、たとえば「横浜トリエンナーレ」では、開催年は複数の会場で作品展示され、市の中心部全体がお祭りムードとなる。当然展示作品は多く、美術作家も世界各地から参加する。そのため、この規模のものを毎年開催するのは困難なのである。

②については、ある程度の期間を空けたほうが新鮮味が増し、毎年見られるわけではないという珍しさから、自然と特別なものと感じられるようになるのだろう。

ビエンナーレ→トリエンナーレ→4年は?

ビエンナーレ (2年ごと) →トリエンナーレ (3年ごと) となると、他の開催期間はどのように表現するのか気になる人もいるかもしれない。答えは下記の通りである。

なお、これらは厳密にいえば「開催頻度」を表す言葉である。したがって、国際美術展 (芸術祭) に限って使われる言葉ではない。

ただ、特に「ビエンナーレ」や「トリエンナーレ」は国際美術展 (芸術祭) で使うことがほとんどなので、通常の文脈でこの言葉を使用する場合、その意味も付随している。

  • ビエンナーレ (biennale) →2年に一度
  • トリエンナーレ (triennale) →3年に一度
  • クアドリエンナーレ/カドリエンナーレ (quadriennale) →4年に一度

全体のまとめ

記事全体の要点をまとめると下記のようになる。

・トリエンナーレは3年に一度、ビエンナーレは2年に一度開催される国際美術展のこと。開催頻度によって、それぞれ呼び方が異なる。トリエンナーレやビエンナーレは、日本含む世界各地で行われている。

・日本で有名なトリエンナーレは、「横浜トリエンナーレ」や「瀬戸内国際芸術祭」など。同じく日本で有名なビエンナーレには、「中之条ビエンナーレ」や「ヴェネツィア・ビエンナーレ」などがある。

・トリエンナーレやビエンナーレは地域の経済を活性化させる役割も期待されている。実際、注目度の高いそれらが開催されるときには、多くの人々が周辺の観光も兼ねて訪れる。

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