あなたは横浜トリエンナーレ (2024) の評判が気になっているのだろう。これについてネット上では、極端な意見もある。しかし、実際どうなのかは鑑賞した人間でないと判断しづらいはずだ。
そこでこの記事では、現地に行って鑑賞してきた私個人の感想も加えつつ、なるべく客観的に口コミや評判をまとめた。
本文を読めば、横浜トリエンナーレ (2024) の概要が掴めることはもちろん、その評価や要点についても理解を深めることができるだろう。
この記事に書かれていること
この記事に書かれていることを短くまとめると、下記のようになります。
全体構成としては、前半は概要と現地リポート、中盤は口コミと感想、後半は関連情報紹介です。
あなたの興味あるところから、読んで頂ければ幸いです。
・横浜トリエンナーレ (2024) の概要→2024年6月まで横浜市で開催していた、国際美術展 (芸術祭) のこと。
・横浜トリエンナーレ (2024) の口コミや感想→世間の口コミや評判は賛否両論。私個人の感想は本文記載。
・横浜トリエンナーレ (2024) の関連情報→所要時間・図録・グッズの三つの情報ついて解説。
横浜トリエンナーレ (2024) の概要
横浜トリエンナーレ (2024) とは、2024年3月15日~6月9日まで神奈川県横浜市で開催していた、現代アートを中心とした国際美術展 (芸術祭) である。
2024年のメイン会場は横浜美術館、旧第一銀行横浜支店、BankART KAIKOの三か所。その他、横浜トリエンナーレの歴史を含めた詳しい周辺情報を知りたい人は、下記の関連記事も参考にしてほしい。
横浜トリエンナーレ (2024) 現地リポート
ここでは、より横浜トリエンナーレ (2024) 開催時の雰囲気を感じてもらうために、私が実際に現地に行って鑑賞、帰るまでをリポート (堅苦しくてもつまらないので、実際は日記のように記載) する。
もし、そのようなものに興味がない場合、ここは読み飛ばしてもらっても構わない。
メイン会場までの道のり
自宅からメイン会場のある横浜まで移動。快晴だったから、現地に行くまでの道のりも気持ちよかった。神奈川県側に入ってからは自然とテンションも上がる (以前は神奈川に住んでいた。そのため、個人的な思い入れのある場所) 。
横浜美術館
横浜美術館には、改修工事前に訪れたことがある。それから何年も来ていなかったので、今日は久々で楽しみにしていた。周囲の環境含めて、素晴らしい美術館だと改めて思う。ただ、館内の動線は分かりづらいところもあった。
作品は一階の無料エリアだけでも結構見ごたえがある。チケット提示してさらに奥へ。現代アート展らしく、インスタレーション (空間芸術) や映像作品も多い。
一方、写真や素朴な絵画、当時を知る美術資料なども展示され、全体としてはバラエティ豊かな構成となっていた。
旧第一銀行横浜支店
横浜美術館の作品を鑑賞した後は、もう一つの会場である旧第一銀行横浜支店へ。ここで見た作品は、横浜美術館のものとはまた少し毛色が違うように感じた。
BankART KAIKO
最後に三つ目の会場であるBankART KAIKOへ。その中は決して広くはない。でも、いい感じの雰囲気。気になった作品もあったが、時間の関係でゆっくり見れなかったのが少し残念である。
夜景を見ながら帰宅
メイン会場以外にも作品展示されている場所はあるものの、時間が足りないので今回はそろそろ帰宅。最後は横浜のきれいな夜景を見ながら帰ることができて、何となく得した気分だった。
横浜トリエンナーレ (2024) の面白かった作品
ここでは、横浜トリエンナーレ (2024) で鑑賞した作品の中で、特に印象的だったものを作者の名前と一緒にいくつか紹介する。
アネタ・グシュコフスカ
後で紹介するシビル・ルパート同様、アネタ・グシュコフスカも視覚的なインパクトが強い作品をつくる作家だ。
実の娘に、母親とそっくりの人形で遊ばせている様子を撮影して作品にするなど、表現手法も斬新だった。
長谷川潔
長谷川潔の版画は一見すると地味かもしれない。しかし、現地で生の作品を見たときは、その中に引き込まれるような不思議な魅力を感じた。作品の解説文には、下記のような記載があった。
この世のあらゆるものに内在する目に見えない世界を感じるために、ひとつひとつのものの外観を丹念に描くようになります。
引用:横浜トリエンナーレ (2024) の作品解説より
過去紹介した作家でいうと、基本的な視点はデ・キリコに似ているかもしれない。いわゆる、形而上的な世界を自身の作品を通して見ていたのだろう。「形而上」や「デ・キリコ」については、下記の記事で詳しく解説している。
シビル・ルパート
シビル・ルパートという作家の作品は、強烈に訴えてくるものがあった。カテゴリーとしては、アウトサイダー (美術の主流ではない) 系統の画家になると思うが、一度見たら忘れられない独創的な作風でずっと記憶に残っている。
特に印象的だったのは、下記の二作品である。
横浜トリエンナーレ (2024) の口コミ&評判
ここでは、横浜トリエンナーレ (2024) に関する、みんなの口コミ&評判を「ブログ記事」と「SNS」の二つに分けて紹介する。
ネット上の世論ということである程度の偏りは見られるが、いろいろと参考になる部分もあるはずだ。
横浜トリエンナーレ (2024) のブログ記事
横浜トリエンナーレ (2024) について、ブログ上のさまざまな感想を「私個人の言葉でまとめる」と下記のようになる。
細かく見ていけばきりがないが、一番の論点は「政治と芸術を結び付けること」に対してどう思うか?という部分である。
- 世間に言いたいことがあれば、自分の口で言えばよい。わざわざ美術作品にする意味が分からない。
- テーマや作品数、参加作家数が多い。その割に情報が少ない。テーマと作品数を絞るべきだった。
- 表現がストレートでひねりが少ない。芸術なのだから「芸」を見せてほしい。
- 社会問題を扱った作品が多くて重厚な雰囲気。でも、現代美術は世相を反映しているのも特徴。一緒に行った娘が気に入った作品を見つけて楽しんでいた。
横浜トリエンナーレ (2024) のSNS投稿
横浜トリエンナーレ (2024) の感想についてのSNS投稿 (X、旧Twitter) には、下記のようなものがある。
横浜トリエンナーレ (2024) の個人的感想
横浜トリエンナーレ (2024) の個人的感想については、鑑賞後すぐに書いたメモが残っている。これが一番素直な感想だと思うので、ここではそれをそのまま掲載する。
なお、横浜トリエンナーレ鑑賞後、感情的に走り書きしたので、一部変なところもあるかもしれない。それについては、大目に見てほしい。
【横浜トリエンナーレ (2024) の感想】
ネット上ではコンセプトが分かりづらいという意見もあったが、むしろ分かりやすく感じた。その観点からいえば、老若男女に配慮した現代アート展。また、アートに政治社会的なことを持ち込むなという意見もあるが、アートと政治社会的なことは多かれ少なかれつながっているものである。
メインテーマやコンセプトをざっくりいえば、多様な個人と社会システム (国家) の関係だろう。それは普遍的なテーマであり、過去だけではなく、現在も問われ続けていることである。細部まで掘り下げれば複雑になるが、全体としては明快で理解しやすい。
普段から政治社会的なことに興味がある人、それをアートに結びつけることに抵抗がない人は横浜トリエンナーレ (2024) も楽しめるだろう。反対にそうではない人は、楽しめない可能性もある。
メイン会場を見るだけでも6時間程度、ゆっくり見ればそれ以上。館内動線が分かりづらかったという欠点はあるものの、内容は充実していた。チケット代金から考えれば、コスパ的にもお得で十分満足。
横浜トリエンナーレ (2024) はつまらない?
ネット上では極端な意見が強調される傾向にあるので、否定的意見は目につく。その中でも特に目立つのが「つまらない」という意見である。
これについて、ここでは、少し私個人の意見を書いていきたい。前提として、アートの感じ方は人それぞれであり、絶対的な正解はない。肯定的、否定的意見のどちらを主張するのもそれぞれの自由だ。
そのような中、私は前項などでも述べたように、横浜トリエンナーレ (2024) に対して肯定的な意見を持っている。その理由の一つが、アートと政治 (社会) 的なものを結びつけることに抵抗がないからだ。抵抗がないというか、アートという手段で社会に何か主張するのは、アートの持つ大きな側面の一つだと思う。
ここで紹介した口コミ評判などを見てもわかるように、横浜トリエンナーレ (2024) に批判的な人の意見の大半は「アートと政治を結び付けるな」に集約される。これはその人の価値観によるものだから、一つの意見として尊重するべきだろう。ただ、このようなものに「アレルギー」が強い人が多すぎる気がする。
また、否定的な意見の中には「数が多いわりに作品解説が少なく、まとまりがない」というものもあった。これについては、実際に現地で作品を見たものとして同意する部分もある。確かにまとまりはなかった。また、表現がストレートすぎる作品が多いというのも、厳しく見れば否定できない。
それらを踏まえても、私は横浜トリエンナーレ (2024) は面白かったし (重い作品が多いので「面白い」というのはおかしいかもしれないが) 、現地に行って鑑賞してよかったと思っている。結論としてつまらないか、そうでないかはその人のアートに対する価値観次第。具体的な論点としては、上述してきた通りである。
これだけでは納得しない人もいるかもしれないので、追加情報を最後に一つ。横浜市は開催毎に、横浜トリエンナーレの「来場者満足度調査」を行っている。そして、この調査結果は後で一般にも公開される。
したがって、横浜トリエンナーレ (2024) の調査結果公開後にそれを見れば、ある程度客観的にどのように感じた人が多かったのか把握できるだろう。
その他の関連情報
ここでは、横浜トリエンナーレ (2024) に関する情報でこれまで触れていなかったものについて、いくつかまとめて解説する。
横浜トリエンナーレ (2024) の所要時間
結論からいうと真面目に鑑賞すれば、最低でも丸一日の時間が必要だろう。さらに、無料エリアの作品、関連するイベントまで観ようとすれば、それ以上の時間が掛かるはずである。
別記事でも書いたが、参考までに私が横浜トリエンナーレ (2024) の作品を鑑賞したときは、メイン会場だけで6時間掛かった。
それでも、時間の関係で一部は早足で見たほどだ。一般的な美術展は数時間程度で見て回れるものもあるが、その感覚は横浜トリエンナーレでは通用しないだろう。
横浜トリエンナーレ (2024) の図録
横浜トリエンナーレは開催のたびに、図録 (公式カタログ) が販売されている。この図録を買うことを、楽しみにしている人もいるだろう。2024年についても他の年と同様、図録は発売される。
具体的な発売時期は2024年の9月中旬となっており、記事執筆時点では、横浜美術館ミュージアムショップ で予約を受け付けている。また、Amazonでも後日電子版が販売予定である。
なお、横浜トリエンナーレ (2024) のディレクター二人 (リウ・ディン&キャロル・インホワ・ルー) は、2014年開催の横浜トリエンナーレに影響を受けたといわれている。そのときの図録は、現在でもAmazonなどで扱っている (英語と日本語版が混在している点は注意) 。
横浜トリエンナーレ (2024) のグッズ
横浜トリエンナーレ (2024) の公式グッズは、会期中に現地で購入することができた。具体的にどのようなものがあったのかは、公式オリジナルグッズのページを見れば分かるはずだ。
個人的には、現地に行ったときに公式グッズを購入することはなかった。ただ、その代わりに「横浜」らしさを感じさせる、横浜ポートサイダーを買った。
気になる味は砂糖を水で溶かして甘みを付けていて、素朴で懐かしい感じだった。このアイテムは楽天などでも扱っているので、現地に行けないけど気になる人はチェックしてみるとよいだろう。
全体のまとめ
この記事全体の要点をまとめると下記のようになる。
・横浜トリエンナーレ (2024) とは、2024年に横浜市で開催された現代アートの国際展。
・ネット上では賛否両論の展覧会となった。その主な論点は「アートと政治を結び付けること」に対する是非である。
・横浜市は「来場者満足度調査」を行っているので、横浜トリエンナーレ (2024) の客観的な満足度 (評判) はその結果が公開され次第分かるだろう。
・私は楽しめたので鑑賞してよかった。全体のコンセプトが気にくわない人でも、それとは別に作品そのものを個別に鑑賞していけば、お気に入りが見つかるかもしれない。
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