人智学とは? 簡単に解説

哲学

人智学は一見すると分かりづらく、複雑なものである。

今回の記事では、この人智学について、なるべく平易に解説する。また、よく似た性質を持つ神智学との違いについても同様に説明していこう。

この記事に書かれていること

今回の記事に書いてあることを短くまとめると、下記の通り (①~③) となる。

なお、人智学と関係が深い「神智学」についは、別の記事で詳しく解説している。

①人智学とは?
→人智学とは、シュタイナー及び人智学協会の思想を指す言葉である。

②シュタイナーと人智学協会について
→シュタイナーは人智学に深く関わった人物、人智学協会はその関係者がつくった組織。

③人智学と神智学に違いはあるの?
→大枠で違いはない。ただ、細部には異なる部分もある。

人智学概要

ここでは、人智学を知るうえで欠かせない基礎的な知識を解説する。

語源

人智学という言葉は、ギリシア語で人間を意味する「anthropos・アントロポス」、知恵を意味する「sophia・ソフィア」の二つの単語からきている。

両方を合成すると「Anthroposophie・アントロポゾフィー」となり、日本語だと「人間の知恵」という意味に直訳できる。

定義

人智学の定義は時代によって異なる。その歴史及び定義を具体的にまとめたものが下記である。

[16世紀]
この頃に初めて人智学の言葉が使われる。1575年発行の魔術書「至高の叡智の研究」では、人智学を「自然事象の知識」と紹介している。

[19世紀]
スイスの医師であるトロクスラーが「人間本性に対する認識」のことを人智学と呼ぶ。また、哲学者のフィヒテは人智学を「人間の根本的自己認識」と定義した。

[20世紀]
哲学者のシュタイナーは、「人智学は認識の道であり、人間存在の霊的なものを、森羅万象の霊的なものへ導こうとするもの」と発言している。

それぞれの定義を読んでも、抽象的で分かりづらいだろう。ただ、現代における人智学はシュタイナーの思想を指すことがほとんどである。つまり、「シュタイナー=人智学」と考えて間違いはない。

[人智学の定義・まとめ]

・人智学の定義は時代や人によって異なる。

・現代においては、シュタイナーが体系化した思想を「人智学」と呼んでいる。

・現代の人智学と関係が深い、シュタイナーや人智学協会についていは次項で解説。

重要人物

近代人智学と関係の深い、重要人物は複数名いる。ここでは、その人物について具体的に紹介する。

シュタイナー

引用元:https://www.weleda.jp/wordpress/about/our-heritage/anthroposophy/

ルドルフ・シュタイナー (1861~1925) は、ドイツで活躍した哲学者である。神秘主義的な思想にも興味を持ち、途中から人智学運動に傾倒するようになる。また、シュタイナーを支持した人々によって設立された「人智学協会」の指導を行っていたことでも知られている。

高橋巖

引用元:https://x.gd/r7bTi

高橋巖 (たかはしいわお) は、日本におけるシュタイナー及び人智学研究の第一人者である。高橋巌は慶應義塾大学文学部を卒業後、複数回にわたって渡欧している。そこでシュタイナーの弟子に出会い、その思想に影響を受けたようだ。

当時は慶應義塾大学文学部の教授もしていたが、シュタイナー及び人智学に関する活動に集中するため、1973年に大学教授の職を辞める。退職後に自らの手で「日本人智学協会」を設立した。

高橋弘子

高橋弘子は「那須みふじ幼稚園」の副園長及び園長を務めた人物である。那須みふじ幼稚園は内海暢子が創立者であり、シュタイナーの思想を取り入れた「シュタイナー幼稚園」として有名だ。

また、高橋弘子は1976年にドイツのシュタイナー式教育の幼稚園を視察するなど、運営面においても重要な役割を果たしている。さらに、前項で述べた高橋巌との共著があるのも興味深い事実だろう。

人智学協会について

人智学協会とは、シュタイナーの支持者が設立し、晩年にはシュタイナー自身も深く関わった団体を指す。別名「アントロポゾフィー協会」ともいう。

厳密にいうと人智学協会の歴史には前期と後期があり、それぞれが別物だ。しかし、現代では同じものとして扱われることが多い。本部はスイスの都市ドルナハにあり、国際的な組織である。

なお、日本には高橋巖が1985年に設立した「日本人智学協会」もあるが、スイスの組織とは無関係である。つまり、日本人智学協会は日本独自の組織といえる。

人智学と神智学の違い

人智学と似た学問として「神智学」がある。この二つの違いについて結論からいえば、ほとんど同じものである。なぜなら、シュタイナー自身が最初は神智学協会の会員であり、人智学は神智学から派生した学問だからだ。

上記を踏まえて、あえて細かい違いを挙げるとすれば、人智学は神智学と違って農業や教育など、現実社会に根差したノウハウがあることといえるだろう。

また、神智学が東洋思想に影響を受けていたのに対して、人智学の根幹はあくまでも西洋思想にあるのも両方の違いである。

補足情報

ここでは、人智学をより深く知るうえで参考になりそうな情報を紹介する。

人智学・路

「人智学・路」とは、人智学関連の情報をまとめた老舗のサイトである。正直、サイトデザインは古いものだが、マニアックな情報がまとめられているので興味ある人は覗いてみるとよいだろう。

→人智学・路

人智学のQ&A

人智学に多い疑問・質問もまとめて見たので、併せて参考にしてほしい。

人智学とナチス

人智学はナチス (ヒトラー) との関係で語られることがある。端的にいうと、シュタイナーとヒトラーは仲が悪く、お互いを酷く嫌っていたようだ。

ヒトラーはシュタイナー (人智学) の思想が党内関係者に広がることを警戒した。そのため、あるドイツ軍人が人智学協会に所属しているのを発見したときは、将校の資格をはく奪したという。

人智学協会の現在

人智学協会は過去の遺物ではなく、現在でも活動している。これはスイスの本部はもちろん、日本の組織である日本人智学協会も同様である。

特に教育分野で人智学 (シュタイナー) の考えに注目する人は今でもおり、シュタイナー幼稚園として有名な「那須みふじ幼稚園」はその考え方を取り入れた教育の実例といえる。

人智学は現代でも活用されている

人智学は現代でも細々としたものではあるが、教育などの分野で活用されている。思想の是非は別にして、脈々とその知識が受け継がれているということだ。

そして、人智学は神智学から派生したものであり、シュタイナーがその体系化や啓蒙に大きな役割を果たした。細かい違いはあるものの、人智学は神智学と似た性質を持つものである。

最後に人智学は複雑ですぐに全てを理解できるものではない。これに興味があってより深く知りたいなら、まずは関連書籍に目を通してみるのもよいだろう。

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