マーク・トウェインはどんな人か? その哲学を探る

マーク・トゥエインの画像1 哲学
画像:pixabay

マーク・トウェインは米国生まれで、世界的に知られた作家である。その個性的なキャラクターは彼の残した作品と共に、多くの人々を惹きつけている。

今回の記事では、そんなマーク・トゥエインの人物像を解き明かしたい。また、「人間とは何か」という一冊から、その背後にある哲学まで探ってみよう。

この記事に書かれていること

この記事に書かれていることを短くまとめると、下記のようになる。

詳細については、それぞれの興味に応じて本文各項目をチェックしてほしい。

マーク・トウェインとは?→米国の作家。1985年~1910年没。代表作は「トム・ソーヤの冒険」、「人間とは何か」他。

マーク・トウェインはどんな人?→個性の強い人物。但し、「悲観主義」の人間観を持っており、当時の社会に対して問題意識もあった。

「人間とは何か」について→悲観主義がよく表れている一冊。主張を一言でまとめると「人間は機械」であり、その考え方は現代でも通用する。

マークトウェインの基本情報

マーク・トウェインの基本情報は下記の通りである。米国出身の作家であり、「トム・ソーヤの冒険」は誰もが一度は聞いたことがある作品だろう。

また、東京ディズニーリゾートで人気の「マーク・トウェイン号」はその名の通り、マークトゥエイン本人の名前から取られたものである。

これらの事実だけでも、とても有名な人物であることが分かる。そんな彼の生涯については、いくかのキーワードと共に次項から紹介しよう。

名前:マーク・トウェイン (1985~1910年 74歳没)

誕生:ミズーリ州フロリダ

死去:コネチカット州レディング

国籍:米国

ジャンル:フィクション・ノンフィクション・児童文学・歴史小説 他

代表作:トム・ソーヤーの冒険

引用元:https://x.gd/RuzJt

マークトウェインとハレー彗星

マーク・トウェインは1985年11月30日に米国ミズーリ州に生まれた。また、このときはハレー彗星が観測された年でもある。

本人はこのハレー彗星に特別な縁を感じているようで、「ハレー彗星と共に生まれ、ハレー彗星と共に去る」と生前は周囲の人間に語っていた。

マークトウェインの兄弟

マーク・トウェインは5人兄弟の4男だった。家は破産するなど経済的に乏しく、彼の身体も病弱だったようだ。

ただ、幼少期から落ち着きがなく、学校の規則を破るなど問題児として扱われていた一面もある。現代でいう、ADHDだったのではないかという分析をする人もいる。

マーク トウェインとミシシッピ川

ミシシッピ川は、マークトゥエインの代表作「トム・ソーヤの冒険」のモデルとなった場所で有名である。

実際、彼は4歳のときにミシシッピ川沿いの町・ハンニバルに引っ越しており、そのころの経験や記憶をもとにして本を執筆したと語っている。

マークトウェインと南北戦争

引用元:https://x.gd/ZKoD3

学校卒業して17歳になると、印刷工になるためにセントルイスへ。その後、22歳 (1857年) で蒸気船の水先人見習いとなる。

やがて、南北戦争 (1861~1865年) が始まると失業し、米国連合国軍に志願。さらに軍隊除隊後にはサンフランシスコに移り住み、複数の新聞社で新聞記者として働き始める。

このように、南北戦争という社会的混乱があったにせよ、次々と職を変える若いころのマーク・トウェインは、「転職」が多い人間だったといえるだろう。

マークトウェインの妻

引用元:https://x.gd/KAs2z

新聞記者時代に連載した欧州体験記が好評で、いくつかのシリーズを出版したマーク・トウェイン。35歳 (1870年) のとき、オリヴィア・L・クレメンスという美しい女性と結婚した (写真参照)。

そして、38歳 (1873年)「金ぴか時代」41歳 (1876年) 「トム・ソーヤの冒険」を出版。特に後者はマークトウェインの名を不動のものとし、ベストセラー作家となったのだった。

マークトゥエインと投資

ベストセラー作家となり、金銭的に裕福になったマーク・トウェイン。しかし、浪費や計画性のない投資でその資金を溶かすことも多かった。

59歳 (1894年) のときには、投資などの失敗のよって破産。知人の助けや資金集めのための世界一周講演活動によって、62歳 (1897年) で借金を完済、再び資産家として復活した

本人の人生と同様、幼少期~晩年までの金銭の増減もその生涯で激しい浮き沈みをしている。

マークトウェインの晩年

63歳 (1898年) で「米国反帝国主義連盟」参加、71歳 (1907年) にオックスフォード大学名誉博士号を授与された後、74歳 (1910年) に胸の病気で死去する

1910年はマーク・トウェインが生まれた年と同様、ハレー彗星が観測された年であった。

つまり、本人が生前周囲に語っていた、「ハレー彗星と共に生まれ、ハレー彗星と共に去る」の通り生涯を終えたのである。

マークトウェインの性格と代表作

マークトゥエインはその人生と共に、本人のキャラクターにも注目が集まる作家である。

ここでは、マーク・トウェインの性格 (人間性) を代表作と共に見ていこう。

→マーク・トゥエインの著書一覧

性格

マーク・トウェインはよくいえば常識にとらわれない自由人、悪くいえば破天荒な性格をしていたようだ。

具体的には、人の好き嫌いが激しく、仲が良い人とそうではない人がはっきりとしてた。また、自身が話す内容を面白くしたいがゆえに、実際よりも誇張することが多かった。

前項で紹介した、計画性のない投資もこのような彼の性格をよく表しているだろう。一方、旅行好きや当時の社会情勢を忖度なく批判するなど、一般的に好ましいとされる性質も備えていた。

マークトウェイン代表作① 金ぴか時代

「金ぴか時代」(1873 年) は、マーク・トウェインとチャールズ・ダドリー・ワーナーによる共著の小説である。

この頃は米国の資本主義が急速に発達、拝金主義的な価値観が広がっていった時代だった。

そのような時代を、マーク・トウェインお得意の「風刺」で皮肉ったのがこの小説の内容になる。

マークトウェイン代表作② トム・ソーヤーの冒険

「トム・ソーヤーの冒険」(1876年) は世界的に有名であり、マークトウェインの名を不動のものにした名作である。

全体は、前書き・本編35章・終章で構成されている。内容はトム・ソーヤーという10歳の少年を中心にした、子供たちの物語だ。

ジャンルとしては児童文学だが、トゥエインは大人にも読んで欲しいと述べ、米国文学史でも続編 (ハックルベリー・フィンの冒険) 含めて貴重なものとされている。

マークトウェイン代表作③ 人間とは何か

作家としてのキャリア初期には、比較的明るい作風だったマーク・トウェイン。しかし、晩年になるとシリアスで暗い作品が増えていく。

そんな晩年を代表する作品が「人間とは何か」である。この小説は1906年に250部限定、しかも匿名で発売されたという当時の問題作だった。

人間とは何か (マークトウェイン) の要約と結論

「人間とは何か」本文の英語題名より

「人間とは何か」はマーク・トウェイン晩年の代表作であり、その内容に興味を持つ人も多い。

ここでは、具体的なネタバレなしで、その内容を要約と結論に分けて紹介しよう。

要約

「人間とは何か」の登場人物は常識的価値観を持っている青年と、それを否定する老人の二人だけである。

老人の主張は「人間に自由な意志などなく、すべては環境と欲望に支配されて動く機械」というものだ。

この主張に納得できない青年は、さまざまな観点から老人と対話 (議論) を重ねていく。

結論

「人間は機械」というのが老人の一貫した主張であり、それが結論である。

これを青年にどのように納得させるか、あるいは青年が老人にどのように反論するのか、このやり取りが小説の見どころの一つとなる。

人間とは何か (マークトウェイン) の感想

ここでは、マーク・トウェインの「人間とは何か」を読んだ人々の感想を紹介しよう。

また、後半では、私個人の感想も掲載する。

みんなの感想

引用元:https://twitter.com/PisaroGuess/status/556079944078344197
引用元:https://twitter.com/AlchoholicJp/status/1662239879277731842
引用元:https://twitter.com/GHKDqmjUKwVYaTd/status/1326697541845446656

個人的感想

「人間とは何か」はいくつかの日本語翻訳が出ている。その中で、私が読んだのは1973年に初版発行された岩波文庫のものである。今となっては言い回しなど古く感じられるところもあるが、よくいえばそれが「古典」の雰囲気を漂わせていて味わい深かった。

内容は「人間とは機械である」と主張する老人と青年の永遠に続く対話 (議論) であり、内容そのものは他でもいわれるように、ペシミズム (悲観主義) 一辺倒である。対話はいくつかのテーマから行われるものの、結局は「人間とは機械である」という結論に行き着き救いがない。

一般的な道徳的価値観 (自由意志はある・気質や環境だけで人生が決まるわけではないetc) からは上記を否定したくなるが、冷静に考えると本書で主張されていることは説得力がある。そしてそのものの見方は現代でも決して古くはなく、ペシミズムという観点から人間及び社会に対して「皮肉」が効いてるのが文学作品らしいと感じた。

最後に、冒頭で述べたようにこの本はいくつかの出版社から翻訳 (漫画含む) が出ている。これについて私個人の主観でいわせてもらうと、今風にアレンジされ手に取りやすいのが文響社から出ているもの (漫画 人間とは何か、人間とは何か?自己啓発の劇薬マークトゥエインの教え) である。

角川文庫 (完訳コレクション 人間とは何か) 、岩波文庫 (人間とは何か) は冒頭を読む限り、大きな違いはない。ただ、表紙デザインは文響社よりもこれらのが「文学作品」らしくて好きである。

私ならあえて、角川か岩波のものを選ぶが、カジュアルに読みたいなら文響社のものもよいだろう。

雑学

マーク・トゥエインのイラスト

マーク・トウェインはさまざまなエピソードを持つ作家である。

ここでは、これまで紹介できなかったものを、「雑学」としてまとめて掲載する。

マークトウェインのペンネーム由来と本名

「マーク・トゥエイン」という名前はペンネームである。その由来は、英語の「by the mark, twain」からきている。

上記は2ファゾム (3.6m程度) という水深単位であり、日本語では「水深2尋」と訳す。これは彼が一時期ついた職である、水先人への合図として使われる。

なお、初期のころは「トマス・ジェファソン・スノッドグラス」というペンネームも利用していた。そんな彼の本名は「サミュエル・ラングホーン・クレメンズ」である。

マークトウェインが生きた時代背景

マークトゥエインが生きた時代は19~20世紀初期であり、現代の価値観・環境とは違うところも多々あった。

たとえば、彼が小さいときはまだ、奴隷が身近にいた。また、乳幼児の死亡率も現代とは比較にならないほど高く、生まれてきてもすぐに亡くなってしまうのは珍しくなかった。

その他、拝金主義的な価値観が広まったのもこの時代である。トゥエインはこのような時代に対して、当時としては新しい、現代に通じる問題意識を持っていたようである。

マークトウェインが所有していた大豪邸

引用元:https://x.gd/6ixqR

マーク・トウェインが住んでいた家はまだ残っている。それは、コネチカット州にある広さ約11.5ヘクタール (東京ドーム2個分以上) の大豪邸で、2022年の時点で約5億円で売り出されている。

引用元:https://x.gd/6ixqR

この大豪邸を見れば、マークトゥエインが作家として、金銭的にも大成功を収めたことが分かるだろう。

マークトウェインは不思議な魅力のある人物

マーク・トウェインは個性的な自由人のイメージがある一方、シリアスな一面も持っていた。具体的には、悲観主義といわれる人間観を持ち、当時の社会問題にも敏感で批判的であった。

このような多面性が多くの人々を惹きつけ、また、世界に知られる作品を次々に生み出す源泉になったのだろう。

そして、マーク・トウェインのシリアスな面を感じられる代表作の一つが「人間とは何か」である。そこには、普段は表に出さなかった、彼の哲学が込められているのではないだろうか。

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